ループエンジニアリングを実践しながら学ぶための例題を考察
ループエンジニアリングを実践しながら学ぶための例題を考察
現在「Loop Engineering」は比較的新しい概念で、単にプロンプトを工夫するのではなく、AIに仕事をさせ、結果を検証し、必要なら再実行し、状態を保存し、明確な終了条件で止める仕組みそのものを設計する考え方として整理されています。特に、これまで取組んできた医療・介護・障害福祉、経営戦略、KPI、データ分析等を題材にすると、かなり実践的な教材になると考えました。
先ず、思いつく例題には、下記「7段階」で学習を考えてみます。
|
段階 |
例題 |
学ぶもの |
|
① |
AIに文章を作らせる |
Prompt
Engineering |
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② |
AIに自己評価させる |
Evaluation |
|
③ |
評価→改善を繰り返す |
Basic
Loop |
|
④ |
合格条件を設定する |
Stop
Condition |
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⑤ |
状態を保存する |
State /
Memory |
|
⑥ |
複数AI役割を分ける |
Agent
Loop |
|
⑦ |
実業務を自動運転する |
Production
Loop |
例題1 「文章改善Loop」
最初は極めて簡単なものを取り上げます。
例えば、「地域包括ケアについて、理事会向けの説明文を作成せよ」からスタートします。
普通なら、「Prompt→ AI→完成」ですが、
Loop Engineeringでは、「Goal→文章生成→評価→問題点抽出→文章改善→再評価→合格?
(→ No → 改善Loop or → Yes → 完了)」とします。
評価基準を、次の正確性、読みやすさ、経営的視点、具体性、文字数 の5項目にします。
例えば、「各項目8点以上、平均8.5点以上なら終了」というStop Conditionを設定します。
これだけでも、Loop
Engineeringの核心である「生成→検証→改善→終了」を体験できると思います。
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そこで、例題として「地域包括ケアについて、理事会向けの説明文を作成する」を使い、実際にAIに指示してみましょう。
まずは「普通のプロンプト」と比較します
STEP 1 普通に依頼する
あなたは医療・福祉法人の経営企画担当者です。 「地域包括ケア」をテーマとして、社会医療法人の理事会で説明するための文章を1,000字程度で作成してください。 理事が理解しやすいように、経営戦略の視点を含めてください。
これで文章は作れます。
しかし、ここには品質を検証する仕組みがありません。
そこで、これをLoop化します。
STEP 2 評価機能を追加する
まず、生成AIに文章を書かせた後、
「自分で採点してください」
と指示します。
あなたは医療・福祉法人の経営企画担当者です。 「地域包括ケア」をテーマとして、 社会医療法人の理事会で説明するための文章を 1,000字程度で作成してください。 理事が理解しやすいように、 経営戦略の視点を含めてください。 文章を作成した後、あなた自身が以下の5項目について 10点満点で評価してください。 ① 内容の正確性 ② 理事会向けとしての分かりやすさ ③ 経営戦略としての具体性 ④ 論理構成 ⑤ 説得力 さらに、 ・各項目の評価理由 ・改善すべき点 ・改善案 を提示してください。
これで、
生成 → 評価
という最初のLoopになります。
STEP 3 「改善Loop」にする
ここからが重要です。
単に評価するだけではなく、評価結果を使って、自分で文章を改善するところまで指示します。
実際には次のようにします。
あなたは医療・福祉法人の経営企画担当者です。 以下のテーマについて、理事会向けの説明文を作成してください。 【テーマ】 地域包括ケアを今後の法人経営にどのように位置づけるか 【対象】 社会医療法人の理事会 【文字数】 1,000字程度 【重視する視点】 ・地域ニーズ ・医療と介護の連携 ・障害福祉との連携 ・法人内事業間のシナジー ・経営の持続可能性 --- あなたは以下の手順を必ず実行してください。 【STEP 1:文章生成】 まず理事会向け説明文を作成してください。 【STEP 2:自己評価】 作成した文章を以下の5項目で10点満点評価してください。 ① 内容の正確性 ② 分かりやすさ ③ 経営戦略としての具体性 ④ 論理構成 ⑤ 説得力 【STEP 3:問題点の抽出】 7点未満の項目があれば、 その原因を具体的に分析してください。 【STEP 4:改善】 STEP 3で発見した問題をすべて修正して、 文章を全面的に書き直してください。 【STEP 5:再評価】 改善後の文章を再び5項目で評価してください。 【STEP 6:終了判定】 以下の条件をすべて満たした場合のみ「完成」としてください。 ・5項目すべて8点以上 ・平均点8.5点以上 ・1,000字±10%以内 ・理事会で説明可能な内容 ・抽象論だけで終わっていない 条件を満たしていない場合は、 再度STEP 3~STEP 5を繰り返してください。 【重要】 最終的に完成した文章だけを「最終成果物」として提示してください。 ただし、その前に実施した評価と改善の過程については、 最後に簡潔な「改善履歴」として示してください。
これだけで、かなり本格的な自己改善Loopになります。
STEP 4 さらに「ループ回数」を制御する
ここで、もう一つ重要な概念が出てきます。無限Loopを防ぐことです。
例えば、
最大5回まで改善する
という条件を入れます。
すると、
文章生成 ↓ 評価 ↓ 8点未満? ↓ ↓ Yes No ↓ ↓ 改善 完成 ↓ 再評価 ↓ 8点未満? ↓ 改善 ↓ …… ↓ 最大5回
となります。
プロンプトには、
【Loop制御】 改善Loopは最大5回までとします。 5回以内に終了条件を満たさなかった場合は、 その時点で最も品質の高い文章を採用し、 ・未達成だった評価項目 ・改善できなかった理由 ・今後人間が判断すべき事項 を提示してください。
と追加します。
これが非常に重要です。
STEP 5 「人間」をLoopの中に入れる
さらに実務では、私はここを重視します。AIだけで完成させない。
例えば、
AI ↓ 文章作成 ↓ AI評価 ↓ AI改善 ↓ 人間確認 ↓ 修正指示 ↓ AI再生成 ↓ 完成
とします。
つまり、Human-in-the-Loopです。
実際のプロンプトなら、
【STEP 7:人間による確認】 最終文章を提示した後、 以下の3点について人間に確認を求めてください。 ① この方向性で理事会に提示してよいか ② 法人固有の事情を追加する必要があるか ③ 修正したい部分があるか 人間から修正指示があった場合は、 その指示を反映して再度評価してください。 人間の承認なしに「最終確定」と判断してはいけません。
となります。
これで、AI Loop + Human Loopになります。
ここで、さらに一歩進めると「AIにAIを評価させる」
例えば、
Writer AI
と
Reviewer AI
を分けます。
Writer ↓ 文章 ↓ Reviewer ↓ 評価 ↓ 改善指示 ↓ Writer ↓ 文章 ↓ Reviewer ↓ ……
ChatGPT上で実際にやる場合は、1つのチャットの中で役割を切り替えれば構いません。
プロンプトの中で、
あなたは現在、 「Writer」と「Reviewer」の2つの役割を持っています。 Writer:文章を作成する。 Reviewer:Writerが作成した文章を厳しく評価する。 重要:ReviewerはWriterに遠慮してはいけません。問題があれば具体的に指摘してください。 WriterはReviewerの指摘を受けて文章を修正してください。
とするわけです。
そして、これをユーザーの実務に置き換える
ここからが本当に面白いところです。
例えば、
「地域総合サービスセンター10年の歩み」
を題材にすれば、
資料 ↓ Writer AI ↓ 10年間のストーリー作成 ↓ 歴史的事実チェック ↓ 経営戦略チェック ↓ 広報担当チェック ↓ 読み手チェック ↓ 改善 ↓ 再評価 ↓ 完成
というLoopにできます。
さらに、
「令和9年度経営計画」
なら、
現状データ ↓ 分析 ↓ SWOT ↓ 戦略立案 ↓ KPI設定 ↓ 財務シミュレーション ↓ 評価 ↓ 改善 ↓ 再シミュレーション ↓ 完成
となります。
これは、先ほどの文章改善Loopより一段高度な「経営戦略Loop」です。
実習としては、まずこの順番がおすすめです
私は次の3段階で実際にChatGPTを操作してみることをお勧めします。
レベル1
「文章を作る → 自己評価する」
↓
レベル2
「文章を作る → 評価する → 改善する → 再評価する」
↓
レベル3
「文章を作る → 評価する → 改善する → 再評価する → 人間が確認する → 再改善する」
この3つを実際に体験すると、「プロンプトエンジニアリング」と「ループエンジニアリング」の違いがかなり明確になります。
そして次の段階では、これをPythonで実装して「評価点が8点未満なら自動的に生成AIのAPIへ再投入する」ところまで進めると、Loop Engineeringを本格的に体験できます。」の構造が見えてきます今回のプロンプトを構造化すると、こうなります。
【目的】 ↓ 文章を作成する ↓ 【評価する】 ↓ ┌──── 8点以上? ────┐ │ │ NO YES ↓ ↓ 【問題分析】 【完成候補】 ↓ ↓ 【文章改善】 【人間確認】 ↓ ↓ 【再評価】 ─ 承認? ─
│ ↓ ↓ └───────── NO YES
↓ ↓ 再修正 完成
つまり、最初の「文章を書いてください」というPromptから、
「目的を達成するまで、生成→評価→改善→再評価を繰り返すシステム」
に変わっています。
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さらに一歩進めると「AIにAIを評価させる」
ここが面白いところです。
例えば、Writer AIとReviewer AIを分けます。
Writer ↓ 文章 ↓ Reviewer ↓ 評価 ↓ 改善指示 ↓ Writer ↓ 文章 ↓ Reviewer ↓ ……
生成AI上で実際にやる場合は、1つのチャットの中で役割を切り替えれば構いません。
プロンプトの中で、
あなたは現在、 「Writer」と「Reviewer」の2つの役割を持っています。 Writer:文章を作成する。 Reviewer:Writerが作成した文章を厳しく評価する。 重要:ReviewerはWriterに遠慮してはいけません。問題があれば具体的に指摘してください。 WriterはReviewerの指摘を受けて文章を修正してください。
とするわけです。
そして、これを私の実務に置き換える
例えば、
「地域総合サービスセンター10年の歩み」
を題材にすれば、
資料 ↓ Writer AI ↓ 10年間のストーリー作成 ↓ 歴史的事実チェック ↓ 経営戦略チェック ↓ 広報担当チェック ↓ 読み手チェック ↓ 改善 ↓ 再評価 ↓ 完成
というLoopにできます。
さらに、
「令和9年度経営計画」
なら、
現状データ ↓ 分析 ↓ SWOT ↓ 戦略立案 ↓ KPI設定 ↓ 財務シミュレーション ↓ 評価 ↓ 改善 ↓ 再シミュレーション ↓ 完成
となります。
これは、先ほどの文章改善Loopより一段高度な「経営戦略Loop」です。
実習としては、まずこの順番がおすすめです
私は次の3段階で実際に生成AIを操作してみることをお勧めします。
レベル1
「文章を作る → 自己評価する」
↓
レベル2
「文章を作る → 評価する → 改善する → 再評価する」
↓
レベル3
「文章を作る → 評価する → 改善する → 再評価する → 人間が確認する → 再改善する」
この3つを実際に体験すると、「プロンプトエンジニアリング」と「ループエンジニアリング」の違いがかなり明確になります。
そして次の段階では、これをPythonで実装して「評価点が8点未満なら自動的に生成AIのAPIへ再投入する」ところまで進めると、Loop Engineeringを本格的に体験できます。