訪問介護職員教育をどう設計するか(AI前提)
結論から言います。
訪問介護職員教育は
「AIを使わせる教育」ではなく
「AIが前提で“踏み込みすぎない力”を育てる教育」
です。
1. 前提をひっくり返す(まず共有すべき思想)
❌ 従来の教育
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見守りを強化する
-
異変を早く見つける
-
気づいたらすぐ対応
⭕ AI前提の教育
-
気づきすぎない
-
判断を抱え込まない
-
対応を先走らない
👉
「良いヘルパー=頑張る人」
という幻想を最初に壊す必要があります。
2. 教育全体像(3レイヤー構造)
この順番で教えます。
AI説明は一番最後です。
3. Layer1:現場行動教育(超重要)
①「やっていいこと」を明確化
MCI〜軽度認知症前提。
OK行動
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声かけの定型化
-
生活リズム確認
-
服薬・食事の事実確認
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“違和感”のメモ化
👉 事実だけ拾う
②「やってはいけないこと」を明文化
ここを曖昧にすると崩壊します。
NG行動
-
判断(大丈夫/危険)
-
説得(こうした方がいい)
-
介入の前倒し
-
家族への直接不安共有
👉
「良かれと思って」は全部NG
③ 行動基準を“セリフ化”
考えさせない。
例:
-
「いつも通りですね」
-
「今日はここまでにしますね」
-
「一度、担当に共有しますね」
👉
台本化=認知負荷軽減
4. Layer2:判断教育(抱え込まない技術)
① 判断を3種類に分けて教える
| 種類 | 担当 |
|---|---|
| 事実判断 | ヘルパー |
| 意味判断 | AI |
| 方針判断 | MIC/ケアマネ |
👉
ヘルパーは事実担当と明言。
② 「違和感」の扱い方訓練
違和感=異変ではない。
教える型
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見たこと
-
聞いたこと
-
前回との差分
例:
❌「元気がない」
⭕「声量が小さく、返答までに5秒以上かかる」
👉 評価語禁止
③ 責任の所在を明確にする
教育で必ず言う一言:
「判断はあなたの仕事ではありません」
これを言わない教育は失敗します。
5. Layer3:AIとの役割分担教育
① AIを“先生”にしない
ここが最大の落とし穴。
正しい位置づけ
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AI=記録整理係
-
AI=変化検知係
-
AI=翻訳機
👉
助言者ではない
② AI入力の最小化
現場負担を増やさない。
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チェック式
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音声入力
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選択肢方式
👉 文章を書かせない
③ AIがあるから“踏み込まない”
教育のキーフレーズ:
「AIが見ているから、
あなたは深追いしなくていい」
👉
安心材料として教える
6. 研修設計(現実的)
初期研修(2時間×2回)
1回目
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MCI(Member In Charge)のリアル
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独居×認知の限界
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踏み込みすぎの失敗例
2回目
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行動基準
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記録の書き方
-
AI連携の流れ
継続研修(月1・30分)
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事例1つ
-
NG/OKの線引き
-
迷った場面の共有
👉 長く・薄く
7. 管理者向けの別教育(必須)
現場より管理者が一番壊しがち。
管理者NG
-
「気づいたらすぐ連絡して」
-
「何かあったら責任取れない」
👉
これ、全部過介入を生む言葉。
管理者教育の核心
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ヘルパーを守る
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判断を吸い上げる
-
責任を引き取る
8. 評価制度の再設計
ここを変えないと定着しません。
評価しない
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頑張り
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介入量
-
心配り
評価する
-
記録の正確さ
-
踏み込まなかった判断
-
共有の適切さ
👉 “何もしなかった”を褒める
9. この教育がもたらす変化
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ヘルパーが疲れない
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離職が減る
-
事故が減る
-
ケアが暴走しない
-
AIが活きる
最後に(現場向けの決定打)
研修の締めに、必ずこれを言います。
「あなた一人で支えなくていい。
このチームには
AIとMIC(Member In Charge)と管理者がいる」
この一言で、
現場の動きが変わります。