認知症の在宅限界について、訪問介護事業所における管理者の判断基準

認知症の在宅限界について、訪問介護事業所における管理者の判断基準

独居×認知症×在宅が成立するのは、

👉「認知症があっても生活が“習慣”として自走している間」

です。

逆に言えば、
“判断が必要な場面”が日常に増えた瞬間、在宅限界が見えます。


1. 在宅が成立する「5つの条件」

これは理想ではなく、現場で本当に成立した条件です。


条件① 生活が“自動化”されている

  • 起床時間が一定

  • 食事パターンが固定

  • トイレ動線が変わらない

  • 家具配置が何年も同じ

👉 考えなくても身体が動く

認知症があっても
手続き記憶が生きている間は在宅可能性が高い。


条件② 火・水・金銭が「触れない設計」になっている

ここは絶対条件です。

  • ガス→IH or 元栓封鎖

  • 風呂→シャワーのみ or 見守り付き

  • 現金→最低限

  • 通帳・印鑑→管理者 or 後見

👉 能力ではなく“構造”で事故を防ぐ


条件③ 支援が“毎日”入っている

週2〜3回はもう独居とは言えない幻想です。

最低ライン

  • 訪問介護:毎日

  • 服薬管理:訪問看護 or デイ併用

  • 食事:配食 or 生活支援

👉 1日1回は「世界がリセットされる」必要がある


条件④ 「拒否が揺れる」状態にある

  • AさんはOK、Bさんは嫌

  • 朝はダメ、午後はOK

👉 これはまだ調整可能。

誰が行っても拒否
時間を変えても拒否
になったら、在宅は厳しい。


条件⑤ “非常時に責任を引き取る人”が明確

  • 家族

  • 後見人

  • 法人後見

  • 行政担当

👉 「何かあったら誰が決めるか」が曖昧なケースは
在宅不可


2. 在宅が成立する認知症ステージ(感覚的分類)

◯ まだ成立するゾーン

  • 見当識障害あり

  • 記憶障害あり

  • 生活習慣は維持

  • 危険認識は弱いが消失していない

👉 中等度手前まで


△ グレーゾーン(管理者判断)

  • 失禁が増える

  • 服薬自己管理不可

  • 夜間不穏が出始める

  • 物盗られ妄想が固定化しつつある

👉 この段階で出口設計を始めないと失敗する


✕ 在宅不可ゾーン

  • 火・水・外出事故の予見性が高い

  • 意思疎通がほぼ成立しない

  • 被害妄想が支援者全体に及ぶ

  • 昼夜逆転+徘徊

👉 訪問介護では責任を持てない


3. 「在宅で支えられる」は誰のため?

ここ、かなり重要です。

  • 本人の希望か?

  • 家族の都合か?

  • 行政のコストか?

  • ケアマネの理想か?

  • 事業所の善意か?

👉 誰の利益かを整理しない在宅継続は、必ず歪む。


4. 管理者がやるべき“線引きの言語化”

現場を守るため、私はこう伝えます。

『今は在宅が「できている」状態です。
でも「続く保証」はありません。
事故が起きてからでは、私たちは支えられません。』

これは冷たい言葉ではなく
責任を引き受けないための誠実さです。


5. 最後に(現場の本音)

在宅で支えられる限界は
医学的診断でも、要介護度でもない。

それは

生活が、考えなくても回るかどうか?
支援が、人ではなく仕組み”になっているか?

ここで決まります。

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