記述式ケース問題59 80歳男性、軽度の認知症を抱えている。トイレの場所を忘れることがあり、特に夜間にトイレに行く際に不安を感じる。
症例59
- 患者情報 80歳男性、軽度の認知症を抱えている。トイレの場所を忘れることがあり、特に夜間にトイレに行く際に不安を感じる。普段は自立しているが、トイレ誘導が必要な場合が多い。家族は息子と妻がフルタイムで働いており、サポートが難しい状況。
質問
この患者に対して、経過観察を行いながら、排泄ケアの支援計画書を作成してください。以下の点を含めてください。
- 初回から短期的および長期的な目標を設定してください。
- 在宅介護者と当事者の今後が見えるようなアドバイス内容を示してください。
- 社会資源を有効活用するための提案をしてください。
- SWOT分析とクロスSWOT分析を行い、支援計画を策定してください。
- BSC(バランススコアカード)とKPI(重要業績評価指標)を用いて進捗状況を求める形式でまとめてください。
解答例
1.
短期的目標 (1〜3ヶ月)
- 目標1 夜間のトイレ誘導を週に5回実施し、患者の不安を軽減する。
- 目標2 トイレの位置を示す明確なサインを家の中に設置し、自己管理を促進する。
- 目標3 週に1回、地域の訪問介護サービスによる訪問を受け、支援を受ける。
2.
長期的目標 (6ヶ月〜1年)
- 目標1 患者が自力でトイレに行けるように、夜間の自己管理能力を高める。
- 目標2 家族が患者のケアに対する自信を持てるよう、定期的な研修や情報提供を行う。
- 目標3 地域の認知症支援ネットワークと連携し、情報交換を定期的に行う。
3.
アドバイス内容
- 介護者へのアドバイス
「トイレの場所を示すサインを目立つ場所に設置し、夜間は明かりをつけておくと良いです。また、地域のサポートグループに参加して、他の介護者と情報を共有することも大切です。」
- 当事者へのアドバイス
「トイレに行くことは自然なことですので、誰かに声をかけることをためらわないでください。慣れていくことで自信が持てるようになりますよ。」
4.
社会資源の有効活用
- 地域の訪問介護サービスやデイサービスを利用し、専門職からのアドバイスを受ける。
- 認知症支援団体のセミナーやワークショップに参加し、知識を深める。
SWOT分析
Strengths
(強み) |
Weaknesses
(弱み) |
-
家族が介護を行っている |
-
軽度の認知症により混乱することがある |
-
地域のサポートが利用可能 |
-
自尊心が高く、他者への依存を避けたがる |
Opportunities
(機会) |
Threats
(脅威) |
-
地域の介護支援サービスの充実 |
-
症状の進行によるさらなる困難 |
-
認知症支援団体の研修や交流会 |
-
介護者の負担増加によるサポートの低下 |
クロスSWOT分析
強み (S) |
機会 (O) |
S-O戦略 |
-
家族が介護を行っている |
-
地域の介護支援サービスの充実 |
家族と専門家が協力し、効果的なケアプランを策定する。 |
-
地域のサポートが利用可能 |
-
認知症支援団体の研修や交流会 |
地域の支援を活用し、情報交換を行うことで、ケアの質を向上させる。 |
弱み (W) |
脅威 (T) |
W-T戦略 |
-
軽度の認知症により混乱することがある |
-
症状の進行によるさらなる困難 |
専門職の支援を早期に受け、症状の進行を抑えるための対策を講じる。 |
-
自尊心が高く、他者への依存を避けたがる |
-
介護者の負担増加によるサポートの低下 |
定期的な休息を介護者に提供し、ストレスを軽減する手段を講じる。 |
BSC(バランススコアカード)とKPI
視点 |
目標 |
指標 |
KPI |
進捗状況 |
次のアクション |
顧客 |
患者の排泄不安を軽減 |
排泄時の不安度 (アンケート) |
不安度の減少 (目標 20%減少) |
15%減少 |
環境調整の見直し |
財務 |
コスト効率の良い介護 |
社会資源の利用率 |
利用率 (目標 75%) |
70% |
新たな資源の調査 |
内部プロセス |
排泄ケアの質を向上 |
専門職による評価 |
評価の質 (目標 良好) |
良好 |
定期的な評価の実施 |
学習・成長 |
介護者のスキル向上 |
研修参加率 |
参加率 (目標 80%) |
60% |
次回研修の計画 |
解説
支援計画を通じて、短期的および長期的な目標を明確にし、介護者と当事者がともに成長していく姿を見えるようにすることが重要です。社会資源を活用し、SWOT分析を通じて強みを最大限に活かし、課題に取り組むことで、より良い排泄ケアを実現していくことが可能です。