記述式ケース問題57 65歳男性、軽度の認知症と抑うつ症状を抱えており、不安感が強く、排泄ケアに対して拒否的な態度を示すことが多い。
症例57
- 患者情報 65歳男性、軽度の認知症と抑うつ症状を抱えており、不安感が強く、排泄ケアに対して拒否的な態度を示すことが多い。家族は高齢の妻が主な介護者で、身体的・精神的に負担が大きい。通院はしているが、定期的なカウンセリングやサポートは受けていない。
質問
この患者に対して、経過観察を行いながら排泄ケアの支援計画書を作成してください。以下の点を含めてください。
- 初回から短期的および長期的な目標を設定してください。
- 在宅介護者と当事者の今後が見えるようなアドバイス内容を示してください。
- 社会資源を有効活用するための提案をしてください。
- SWOT分析とクロスSWOT分析を行い、支援計画を策定してください。
- BSC(バランススコアカード)とKPI(重要業績評価指標)を用いて進捗状況を求める形式でまとめてください。
解答例
1.
短期的目標 (1〜3ヶ月)
- 目標1 患者が排泄ケアに対して受け入れの意欲を示す回数を、週に1回増やす。
- 目標2 不安感を軽減するため、ストレス管理の技法(深呼吸やリラクセーション)を週に2回実施する。
- 目標3 週に1回、訪問介護サービスを利用し、専門職によるサポートを受ける。
2.
長期的目標 (6ヶ月〜1年)
- 目標1 患者が自ら排泄ケアを希望する頻度を増やす(目標
月に4回)。
- 目標2 家族が排泄ケアの重要性を理解し、積極的に関与するようになる。
- 目標3 地域の支援ネットワークを活用し、情報交換や経験の共有を行う。
3.
アドバイス内容
- 介護者へのアドバイス
「患者さんの不安感を軽減するために、リラックスできる空間を作りましょう。例えば、静かな音楽を流したり、リラックスできる香りを取り入れたりすることが有効です。また、訪問介護サービスを利用することで、プロフェッショナルの意見を取り入れることができますので、ぜひ積極的に活用してください。」
- 当事者へのアドバイス
「トイレに行きたくなったら、遠慮せずにお知らせください。あなたが安心してお知らせできるよう、周囲の人々はあなたをサポートしています。また、深呼吸をしてリラックスすることが不安を和らげる助けになります。」
4.
社会資源の有効活用
- 地域の訪問介護サービスやデイサービスを利用し、専門職からのアドバイスを受ける。
- 精神的なサポートを得るために、地域の精神保健センターやカウンセリングサービスを利用する。
SWOT分析
Strengths
(強み) |
Weaknesses
(弱み) |
-
家族の支援がある |
-
抑うつ症状により排泄ケアに拒否的 |
-
地域の介護支援が利用できる |
-
不安感の強さが行動に影響 |
Opportunities
(機会) |
Threats
(脅威) |
-
地域の精神保健サービスの充実 |
-
症状の進行によるさらなる困難 |
-
認知症支援団体の研修や交流会 |
-
介護者のストレスの増加 |
クロスSWOT分析
強み (S) |
機会 (O) |
S-O戦略 |
-
家族の支援がある |
-
地域の精神保健サービスの充実 |
家族が専門家と連携し、患者のサポートを強化する。 |
-
地域の介護支援が利用できる |
-
認知症支援団体の研修や交流会 |
地域の支援を通じて、介護技術や知識を学び合う。 |
弱み (W) |
脅威 (T) |
W-T戦略 |
-
抑うつ症状により排泄ケアに拒否的 |
-
症状の進行によるさらなる困難 |
早期に精神的サポートを受け、適切なケア方法を導入する。 |
-
不安感の強さが行動に影響 |
-
介護者のストレスの増加 |
介護者のストレスを軽減するため、地域の支援を積極的に活用する。 |
BSC(バランススコアカード)とKPI
視点 |
目標 |
指標 |
KPI |
進捗状況 |
次のアクション |
顧客 |
患者の排泄ケアの受け入れ |
受け入れ回数 |
受け入れ回数 (目標 週1回) |
週0回 |
環境調整の見直し |
財務 |
コスト効率の良い介護 |
社会資源の利用率 |
利用率 (目標 75%) |
50% |
新たな資源の調査 |
内部プロセス |
排泄ケアの質を向上 |
専門職による評価 |
評価の質 (目標 良好) |
中程度 |
定期的な評価の実施 |
学習・成長 |
介護者のスキル向上 |
研修参加率 |
参加率 (目標 80%) |
40% |
次回研修の計画 |
解説
この支援計画を通じて、短期的および長期的な目標を明確にし、介護者と当事者がともに成長していく姿を見えるようにすることが重要です。社会資源を活用し、SWOT分析を通じて強みを最大限に活かし、課題に取り組むことで、より良い排泄ケアを実現していくことが可能です。