記述式ケース問題60 75歳男性、軽度の認知症があり、近年、排泄時に不安感を示すようになった。
症例60
- 患者情報 75歳男性、軽度の認知症があり、近年、排泄時に不安感を示すようになった。トイレ誘導が困難で、時折暴言を吐くことがある。家族は息子が主に介護しており、フルタイムで働いているため、介護にかける時間が限られている。
質問
この患者に対して、経過観察を行いながら、排泄ケアの支援計画書を作成してください。以下の点を含めてください。
- 初回から短期的および長期的な目標を設定してください。
- 在宅介護者と当事者の今後が見えるようなアドバイス内容を示してください。
- 社会資源を有効活用するための提案をしてください。
- SWOT分析とクロスSWOT分析を用いて、支援計画を策定してください。
解答例
1.
短期的目標 (1〜3ヶ月)
- 失禁の回数を減少させるため、トイレへの誘導を週に5回行い、必要なタイミングでの排泄を促す。
- 排泄ケアのためのリハビリテーションを月に2回実施し、身体機能の向上を図る。
- 主介護者に対するストレスマネジメントのため、地域のサポートグループに参加する。
2.
長期的目標 (6ヶ月〜1年)
- 排泄ケアの自立を促進し、自己管理能力を向上させる。
- 主介護者が精神的な負担を軽減できるよう、定期的に介護者向けの研修や勉強会に参加させる。
- 家庭内での介護負担を軽減するために、地域の訪問介護サービスやデイサービスを利用する。
3.
アドバイス内容
- 介護者へのアドバイス
「トイレ誘導は一日のルーチンの一部として取り入れ、毎日決まった時間に誘導を行うと、患者も落ち着くでしょう。地域のサポートグループで他の介護者と情報交換をすることもおすすめです。」
- 当事者へのアドバイス
「トイレに行く時間を決めておくと、安心できると思います。また、介護者にサポートをお願いすることも大切です。」
4.
社会資源の有効活用
- 地域の訪問介護サービスやデイサービスを利用し、専門家からのアドバイスやサポートを受ける。
- 認知症サポート団体や地域の健康相談窓口を利用し、必要な情報を収集する。
SWOT分析
Strengths
(強み) |
Weaknesses
(弱み) |
-
家族による継続的なケアがある |
-
軽度の認知症により混乱が生じる |
-
地域のサポート資源が利用可能 |
-
主介護者のフルタイム勤務により時間が限られている |
Opportunities
(機会) |
Threats
(脅威) |
-
地域の訪問介護サービスの利用 |
-
症状の進行によるケアの難しさ |
-
サポートグループへの参加により孤立感の軽減 |
-
介護者のストレスによる負担増 |
クロスSWOT分析
強み (S) |
機会 (O) |
S-O戦略 |
-
家族による継続的なケアがある |
-
地域の訪問介護サービスの利用 |
家族と訪問介護の連携を強化し、効果的なケアを実施する。 |
-
地域のサポート資源が利用可能 |
-
サポートグループへの参加 |
地域のリソースを活用し、介護者が積極的に情報を得ることで、支援体制を整える。 |
弱み (W) |
脅威 (T) |
W-T戦略 |
-
軽度の認知症により混乱が生じる |
-
症状の進行によるケアの難しさ |
早期の支援を行い、認知症の進行を抑えるための専門家の介入を検討する。 |
-
主介護者のフルタイム勤務により時間が限られている |
-
介護者のストレスによる負担増 |
社会資源を最大限に活用し、訪問介護やデイサービスの利用を促進する。 |
解説
短期的および長期的な目標を設定し、社会資源を活用しながら、介護者と当事者が今後どのように取り組んでいくかが見える支援計画を策定することが重要です。
症例75
- 患者情報 80歳女性、アルツハイマー型認知症が進行中。排泄ケアが必要で、トイレ誘導時に不安や抵抗を示す。家族は娘が介護を行っており、フルタイムで働いているため、介護にかける時間が限られている。
質問
この患者に対して、経過観察を行いながら、排泄ケアの支援計画書を作成してください。以下の点を含めてください。
- 初回から短期的および長期的な目標を設定してください。
- 在宅介護者と当事者の今後が見えるようなアドバイス内容を示してください。
- 社会資源を有効活用するための提案をしてください。
- SWOT分析とクロスSWOT分析を行い、支援計画を策定してください。
- BSC(バランススコアカード)を用いて進捗状況を求める形式でまとめてください。
答例
1.
短期的目標 (1〜3ヶ月)
- 排泄時の不安感を軽減するために、トイレ誘導を週に4回行い、穏やかな環境を整える。
- 専門職によるリハビリテーションを月に2回実施し、身体機能の向上を図る。
- 介護者に対するサポートグループへの参加を促し、ストレス軽減を図る。
2.
長期的目標 (6ヶ月〜1年)
- 自立した排泄行動を促進し、自己管理能力の向上を目指す。
- 介護者の精神的な負担を軽減するため、定期的に地域の訪問介護サービスを利用する。
- 地域の認知症支援団体と連携し、情報交換や研修を受ける。
3.
アドバイス内容
- 介護者へのアドバイス
「トイレの環境を整え、患者が安心できる空間を作ることが大切です。また、地域のサポートグループで他の介護者と交流し、情報を共有することも有益です。」
- 当事者へのアドバイス
「トイレに行く前に、リラックスする時間を持つと良いかもしれません。あなたのペースで、無理なく進めていきましょう。」
4.
社会資源の有効活用
- 地域の訪問介護サービスやデイサービスを利用し、専門家からのアドバイスやサポートを受ける。
- 認知症支援団体や地域の健康相談窓口を活用し、必要な情報を収集する。
SWOT分析
Strengths
(強み) |
Weaknesses
(弱み) |
-
家族による継続的なケアがある |
-
アルツハイマー型認知症により混乱が生じる |
-
地域のサポート資源が利用可能 |
-
主介護者のフルタイム勤務により時間が限られている |
Opportunities
(機会) |
Threats
(脅威) |
-
地域の訪問介護サービスの利用 |
-
症状の進行によるケアの難しさ |
-
サポートグループへの参加により孤立感の軽減 |
-
介護者のストレスによる負担増 |
クロスSWOT分析
強み (S) |
機会 (O) |
S-O戦略 |
-
家族による継続的なケアがある |
-
地域の訪問介護サービスの利用 |
家族と訪問介護の連携を強化し、効果的なケアを実施する。 |
-
地域のサポート資源が利用可能 |
-
サポートグループへの参加 |
地域のリソースを活用し、介護者が積極的に情報を得ることで、支援体制を整える。 |
弱み (W) |
脅威 (T) |
W-T戦略 |
-
アルツハイマー型認知症により混乱が生じる |
-
症状の進行によるケアの難しさ |
早期の支援を行い、認知症の進行を抑えるための専門家の介入を検討する。 |
-
主介護者のフルタイム勤務により時間が限られている |
-
介護者のストレスによる負担増 |
社会資源を最大限に活用し、訪問介護やデイサービスの利用を促進する。 |
BSC(バランススコアカード)による進捗状況
視点 |
目標 |
指標 |
進捗状況 |
次のアクション |
顧客 |
患者の排泄不安を軽減 |
排泄時の不安度 (アンケート) |
減少傾向 |
環境調整の改善 |
財務 |
コスト効率の良い介護 |
社会資源の利用率 |
80% |
更なる資源の探索 |
内部プロセス |
排泄ケアの質を向上 |
専門職による評価 |
良好 |
定期的な評価の実施 |
学習・成長 |
介護者のスキル向上 |
研修参加率 |
参加中 |
次回研修の計画 |
解説
このように、短期的および長期的な目標を設定し、社会資源を活用しながら、介護者と当事者が今後どのように取り組んでいくかが見える支援計画を策定することが重要です。