因果推論と因果探索の違い
因果探索は「何が原因か?」という因果関係の地図(構造)を見つけ出すことであり、因果推論は「その原因が結果にどれくらいの影響を与えたか?」という効果の大きさを測ることです。
因果推論と因果探索の違い
両者は「因果関係」を扱う点で共通していますが、その目的とアプローチが明確に異なります。
【具体例】 あるECサイトで「売上を伸ばしたい」と考えたとします。
- 因果探索のフェーズ
- 問い そもそも売上に影響を与えている要因は何か?「サイト訪問者数」「広告費」「セール実施の有無」「商品のレビュー数」などのうち、どれがどれの原因になっているのか?
- アプローチ データだけを頼りに、これらの変数間の因果関係の構造(矢印の向き)を推定し、「広告費 → サイト訪問者数 → 売上」や「セール実施 → 売上」といった因果グラフの仮説を立てます。
- 因果推論のフェーズ
- 問い 上記の因果探索で「広告費が売上を増やす」という関係が示唆されたとします。では、「広告費を100万円増やしたら、売上は具体的にいくら増えるのか?」という効果の大きさを知りたい。
- アプローチ 「広告費 → 売上」という因果構造を前提に、過去のデータから広告費の増減が売上に与えた影響の大きさ(因果効果)を、交絡因子(セールなど他の要因)の影響を取り除きながら正確に推定します。