「失禁」という言葉は、オランダ語のlekheid(漏れ)の訳語として蘭方医によって考案された言葉です。

「失禁」という言葉は、オランダ語のlekheid(漏れ)の訳語として蘭方医によって考案された言葉です。「禁」という字には、「ふさぐ」「とどめる」といった意味があり、「失」という字は「あやまち」や「そこなう」といった意味があります。このことから、「失禁」は「とどめそこなう」という意味で作られた言葉だと考えられます。つまり、失禁とは、自分の意思とは無関係に、排泄が起こってしまうことを指します。「禁」は自分でコントロールすることを意味し、「失」は文字通り「なくす」、「うしなう」を意味します。両方を合わせると、「失禁」は排泄のコントロールを失うことを意味します。

 

逆に考えると、「失禁」の反対語は日本語では「禁制」となります。つまり、排泄などのコントロールができていることを意味します。英語では、「continence」という言葉が使われ、節制や抑制を意味します。「禁制」の反対語は「失禁」であり、コントロールを失った状態を指します。英語では、「incontinence」という言葉が使われ、排泄の自制ができない状態を指します。

 

「おしっこ」という言葉の語源については、「お」という接頭語は御を意味し、美化語の表現です。「し」という字は、江戸時代の女性が用いた言葉「しし」あるいは「しーしー」に由来し、小便を表します。「っこ」は、接尾語の「こ」で、何かをする行為を表わすものです。例えば、「かけっこ」や「にらめっこ」などがあります。

 

一方、「うんこ」という言葉は、「うん」といういきむ声に、接尾語「こ」が付いたものです。他方では、「阿吽」の阿ははじまりを表し、「吽(うん)」を終末として関連付ける説もあります。この説では、中国仏教で大小便を最終産物の「吽」と呼び、大小便の溜まり場を「吽置(うんち)」としていたことから、そのことが日本に伝わったようです。

 

一般社会を見渡すと、どの業界にも独自の言葉使いがあり、それを理解している人にとっては効率的ですが、理解していない人にとっては混乱を招きます。これらの業界用語を使うことは一見、合理的で効率よく思えますが、業界以外の人や専門的な経験知の乏しい人々にとっては誤解を招き、重要な情報が伝わらない可能性があります。

 

そのため、業界用語等の専門用語、または省略語等はなるべく避け、平易な言葉を使うようにしたいと考えますが、逆に業界人や専門家にとっては難しいことなのです。しかし、たとえ難解な専門用語であっても、時間をかけて丁寧に解説することで、誰もが意図したメッセージを理解できるようになると思います。多くの人の理解が進めば、存在意義や効率的生産性が向上します。

 

しかし、一方または両者が専門用語を学習しない限り、コミュニケーションが成り立たないことになります。つまり、その用語の学習には、多くの時間と労力が必要になります。海外旅行で言語の壁に遭遇した時を創造してください。それも、言葉の習得が面倒な高齢になってからは、特に言語の壁を克服するには苦労すると思われます。同様の問題は、医療や介護・福祉を求める人にとっても同様です。これは、患者と医師との間のコミュニケーションの問題にもなり、医療の質の低下につながる場合があります。

 

そこで、排泄ケア総合研究所(排総研)は、排泄ケアに特化したサポート、教育、および広報活動を通して、このコミュニケーションギャップを埋めることに挑戦しようと考えています。本来なら、排泄は生物としての基本的な営みであり、義務教育の中で触れられていれば、専門用語でなく一般用語・一般教養となります。

 

大きな書店に行くと食事や料理に比べて排泄に関する本は少ないですが、社会で排泄ケアの意識を高めることは重要です。紙の消費は文化のバロメータとも言われていました。しかし、現在はインターネットや情報機器の普及でペーパーレス化し、この言葉は死語になっています。明治維新には、江戸時代に一般的なヘアスタイルであった「ちょんまげ」を切った「散切り頭を叩いてみれば、文明開化の音がする」との流行語が、現代は「スマホやパソコンを叩けば文明開化の音がする」とでも言うべき時代が到来しています。

 

また、若者は時事に疎く新聞を見ないとのこと。教育者に聞くと自宅に新聞紙を持たない子供たちが多数いると聞きます。求人広告を新聞に載せても若い対象者に繋がらないのは最もで、ホームページやSNSでの広報が効率的かつ効果的である所以です。つまり、情報が既に電子に置き換わっていることから、この教本も電子書籍として、アマゾンから供給してもらうことにしました。そうした活動が、社会のより多くの皆さん方に生きるための排泄に興味を持っていただき、その結果として、排泄ケアへの理解が深まり、誰もが快適に生活できる環境に向けた社会貢献につながると確信しています。

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