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DirectLiNGAMを用いた因果探索

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③      DirectLiNGAM を用いた因果探索 アルゴリズムを用いて因果探索を行い、生成データの因果関係を推定し、得られた結果を DAG ( Directed Acyclic Graph: 有向非巡回グラフ)として可視化しています。以下に、各部分の詳細な解説と因果探索手法に関連する背景を示します。 import numpy as np import pandas as pd import networkx as nx import matplotlib.pyplot as plt from lingam import DirectLiNGAM   # データ生成 # Temperature (気温)を共通原因とし、 IceCreamSales (アイスクリーム売上)と SwimmingAccidents (水泳事故件数)に影響を与える構造を持つデータを生成しています。各変数にはランダムノイズが加えられており、実際のデータセットに近い状況を模擬しています。 np.random.seed(42) n_samples = 300 temperature = np.random.uniform(20, 40, n_samples) ice_cream_sales = temperature + np.random.normal(0, 2, n_samples) swimming_accidents = temperature + np.random.normal(0, 1, n_samples) data = pd.DataFrame({     'Temperature': temperature,     'IceCreamSales': ice_cream_sales,     'SwimmingAccidents': swimming_accidents })   # 因果探索: DirectLiNGAM を使用して DAG を構築 # DirectLiNGAM は、 LiNGAM ( Linear Non-Gaussian Acyc...

LiNGAMを用いた因果探索

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②     LiNGAM を用いた因果探索 ここでは、非ガウス性分布を仮定して因果関係を推定する LiNGAM を使用したコード例です。   # 必要なライブラリをインストール !pip install lingam matplotlib pandas numpy   # ライブラリのインポート import numpy as np import pandas as pd import matplotlib.pyplot as plt from lingam import DirectLiNGAM   # データ生成:気温、アイスクリーム売上、水泳事故件数 np.random.seed(42) n_samples = 300 temperature = np.random.uniform(20, 40, n_samples)  # 気温 ice_cream_sales = temperature + np.random.normal(0, 2, n_samples)  # アイスクリーム売上 swimming_accidents = temperature + np.random.normal(0, 1, n_samples)  # 水泳事故件数   # データフレームにまとめる data = pd.DataFrame({     'Temperature': temperature,     'IceCreamSales': ice_cream_sales,     'SwimmingAccidents': swimming_accidents })   # LiNGAM モデルを用いた因果推定 model = DirectLiNGAM() model.fit(data) adjacency_matrix = model.adjacency_matrix_  # 因果行列の取得   # 因果関係の表示 print("Adjacency Matrix:") pr...

因果探索とGoogle Colab上で試せるPythonコーディング

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因果探索とPython コーディング Google Colab 上で試せる Python コードとして、因果探索の一例を紹介します。ここでは、因果探索ツールの各種ライブラリを使った基本的な例を示します。   気温、アイスクリーム売上、そして水泳事故件数の生成データに基づいて、背景の因果関係を考慮せずに、 Python の因果探索ライブラリを使用して因果構造を推定してみましょう。この場合、特に利用しやすいのが causal-learn や LiNGAM です。それでは、コードの例を以下に示します。   ①    causal-learn を用いた因果探索 以下は、 causal-learn ライブラリの PC アルゴリズム を使用したコード例です。 # 必要なライブラリをインストール !pip install causal-learn matplotlib networkx numpy pandas   # ライブラリのインポート import numpy as np import pandas as pd import matplotlib.pyplot as plt from causallearn.search.ConstraintBased.PC import pc import networkx as nx   # データ生成:気温、アイスクリーム売上、水泳事故件数 np.random.seed(42) n_samples = 300 temperature = np.random.uniform(20, 40, n_samples)  # 気温 ice_cream_sales = temperature + np.random.normal(0, 2, n_samples)  # アイスクリーム売上 swimming_accidents = temperature + np.random.normal(0, 1, n_samples)  # 水泳事故件数   # データフレームにまとめる data = pd.DataFrame({    ...

因果関係の構造を探索できるマジックをわかり易く説明してみる

因果関係の構造を探索できるマジックをわかり易く説明してみる 因果探索の「マジック」は、観測データから見えない因果関係(どの変数が他の変数に影響を与えているか)を、統計的な手法とある程度の前提条件に基づいて推定するプロセスにあります。簡単に言えば、以下のような流れと考え方です。 データ中の「痕跡」を探す たとえば、ある変数 A と B が強く相関しているとします。しかし、「相関は因果を意味しない」という通説もあります。そこで、単に相関を調べるだけでなく、「条件付きの独立性」を検定します。 もし A と B が、他の変数 C を取り除いたときに独立になるなら、 C が A と B の両方に影響している(共通因子である)可能性を示唆します。 このような統計的検定を繰り返すことで、どの変数が他の変数に直接影響を与えているのか(あるいは共通因子があるのか)を推測するのです。 前提条件の利用(因果的仮定) 因果探索では、通常「因果的マルコフ条件」や「 Faithfulness (忠実性)仮定」などが用いられます。 因果的マルコフ条件では、 DAG ( Directed Acyclic Graph 、つまり向き付き非巡回グラフ)において、各変数はその親(直接の原因)によって完全に説明されるという前提。 Faithfulness 仮定では、観測される統計的独立性は、 DAG における因果構造そのものに由来しているという考え方。 これらの仮定により、「もしこの独立性が成り立っているならば、どのような因果構造が考えられるか」を逆算することが可能になります。 構造学習アルゴリズムの選択と実装 実際に因果構造を発見するためには、さまざまなアルゴリズムが用いられます。 制約ベース手法(例: PC アルゴリズム)では、データ中の条件付き独立性をテストし、その結果から因果構造の可能性を絞り込みます。 スコアベース手法(例:ヒルクライミング法や DirectLiNGAM )では、候補となるグラフに対してデータ適合度(スコア)を計算し、最もスコアが良いもの(=データをよく説明するもの)を選びます。 DirectLiNGAM のような手法は、各変数が線形かつ非ガウス的に生成されるという仮定のもと、因果の...

因果発見の実践

因果発見の実践  では、わかりやすい例を挙げると、先ほどの「アイスクリームの売上と熱中症患者の増加」に関するデータがあるとする。相関関係を見ると、アイスクリームが売れると熱中症患者が増えるように見えるけれど、実際には「暑い天気」という隠れた原因があるのかも?因果探索を使うと、この隠れた要因を明らかにして、どのような因果関係があるのかを突き止めることができる。また、医療の分野でもよく使われる。例えば、新しい薬が患者の病気に与える影響を調べるとき、他の要因(年齢や生活習慣など)をコントロールしながら「薬が本当に効果的なのか」を因果探索で分析することができます。このように、他にも経済、マーケティングなどいろいろな分野で活躍しているのが因果探索です。   因果探索にはいろいろな手法とツールがあり、代表的なもとして 制約に基づく手法、スコアベース手法、関数型因果モデルの 3 つのアプローチがあります。   手法を大別すると 制約に基づく手法( Constraint-Based Methods )は、独立性検定を用いて因果構造を推定します。 PC アルゴリズム ( Peter-Clark Algorithm )は、 条件付き独立性を使って因果構造を推定する方法。 Python ライブラリとして、 networkx 、 cdt ( R 必要)、 causal-learn を使用。 FCI アルゴリズム ( Fast Causal Inference )は、 潜在変数の影響を含む因果構造を考慮。 Python ライブラリとして、 causal-learn スコアベース手法( Score-Based Methods )スコアを最大化することで最適な構造を探索。 GES (Greedy Equivalence Search) DAG の構造探索をスコアベースで行う貪欲法 Python ライブラリとして、 bnlearn 、 pgmpy 、 causal-learn を使用。 BIC (Bayesian Information Criterion) ベイズネットワークのモデル選択に BIC を用いる。 Python ライブラリとして、 pgmpy を使用。 ...

因果グラフの効用と因果探索の展開

因果グラフの効用と因果探索の展開 1.        因果的影響の特定 因果グラフは、特定の結果に因果的な影響を与える変数を特定するのに役立ちます。 例えば、気温 → アイス売上 2.        因果経路の追跡 因果グラフは因果関係の経路を辿るのにも役立ちます。 例えば、江戸時代の出来事で風が吹く → 土埃が立つ → 眼病増加 → 視力低下 → 三味線演奏家増加 → 三味線需要増可 → 三味線づくりで猫皮需要増加 → 猫数減少 → ネズミ増加 → ネズミが桶をかじり破損増加 → 桶屋が儲かる。これは「風が吹けば桶屋が儲かる」との日本語のことわざで、ある事象の発生により、一見すると全く関係がないと思われる場所・物事に影響が及ぶことの喩えである。 3.        共通原因の発見 因果グラフは、交絡因子(共通原因とも呼ばれる)を明らかにすることができます。 例えは、水泳事故 ← 気温 → アイス売上。つまり、気温が高いと水泳事故が増加し、アイスも売れる。 4.        因果発見で未来予見 ある事象の次に何が起こるか正確に予見できれば、確実に成果や利益を得ることができることになります。これらを、因果探索と呼び、簡単に言うと「何が原因で何が結果か」をデータから探ることです。 例えば、アイスクリームの売上が増えると水泳事故が増えるデータがあったとします。しかし、売上が増えたことが水泳事故の原因ではないかもしれない。実は「暑い天気」という共通の要因が両方に影響を与えている可能性があります。因果探索は、こういった隠れた関係を見つけて、「本当の原因は何か」を突き止める手法です。次にコードを書いて因果グラフを構築してみましょう。

因果探索の事始め

因果探索の事始め DAG (有向非巡回グラフ: Directed Acyclic Graph )は「変数」を表す節点(ノード: node )と、変数間の「因果関係」を表す矢印(エッジ)で構成され、あるノードから出発し、エッジをたどり、同じノードに戻ってこないグラフです。ノードはネットワークや構造において、個々の要素または節点を指す言葉です。具体的には、コンピュータネットワークでは、コンピュータやルーターなどの接続機器、物流では物流拠点、データ構造ではグラフの頂点などを指し、 Excel ではデータ内の列と見なし、エッジをそれらの相互影響を示す矢印と見なします。例えば、気温がアイスの売上を引き上げる場合、「気温」から「アイス」へと矢印を描きます。因果グラフはこのようにして、データ内の因果関係を捉えます。

因果推論と因果探索について

因果推論と因果探索について 一般的な因果推論 では、分析者が以下の点を事前に判断する必要があります。 因果の方向として、例えば、 X が Y の原因か、逆か。 潜在共通原因の有無については、 X と Y に影響を与える観測されていない要因(例: GDP )の存在。 これらの判断が正しければ、傾向スコアやバックドア基準、操作変数などの手法を用いて因果効果を推定できます。 例えば、 バックドア基準として、 X と Y の間に潜在共通原因がない、または観測済みの原因で調整可能。 操作変数として、 X の原因であり、 Y に直接影響しない変数 Z を用いて、潜在共通原因があっても因果効果を推定。 しかし、これらの判断は実際には困難です。 因果探索 は、統計的因果推論の一分野であり、比較的新しい研究領域です。因果探索は、データから因果の方向や潜在共通原因の有無を推測し、分析者の判断を補助する手法です。線形性や分布の非ガウス性などの仮定を置くことで、複数の因果モデルから最も妥当なものを推定できます。

相関と因果の違いをアイスクリームと水難事故を例に説明する

相関と因果の違いをアイスクリームと水難事故を例に説明する 相関関係とは、「二つの変数が一緒に変動する傾向がある」ということです。例えば、夏になるとアイスクリームの売上が増え、水辺に行く人も増えるので、水難事故の件数が増加します。このように、アイスクリームの売上と水難事故件数には「一緒に増える」という相関関係が見られます。   しかし、これは因果関係ではありません。アイスクリームを食べたから水難事故が増えたわけではありません!その背後には、どちらにも影響を与える「夏」や「気温」という共通の要因(交絡因子)が存在しています。   つまり、相関は、アイスクリームの売上と水難事故件数が同時に増減する現象。因果は、一方が他方の原因であるという関係、今回の例では夏になり気温が上がるとアイスクリームを食べる人が増え、気温が上がると海や川で泳いだり遊ぶ人が増え、同時に水難事故のリスクも増加傾向になる。   このように、相関と因果は似ているようで大きな違いがあります。

Pythonにて因果推論②  ~シミュレーションモデルの解法例~

P ython にて因果推論②  ~シミュレーションモデルの解法例~   例題 排泄ケアに関連する因果推論と数値シミュレーションモデルを設定し、 Python でコードを示します。このモデルは、例として特定のケースに焦点を当てています。排泄ケアにおける因果関係を調査するために、反事実的フレームワークを使用します。 〇反事実的 フレームワーク 反事実的フレームワークによる分析は、特定の介入があった場合と介入がなかった場合の結果を比較して因果関係を調査する方法です。 〇モデルの要素 ・介入( Treatment ) 排泄ケアの特定のアプローチまたは介入(たとえば、特定の医療機器の使用)。 ・結果( Outcome ) 介入がある場合とない場合の患者の状態(たとえば、合併症の発生率)。 以下は、 Python で因果推論の数値シミュレーションモデルの例です。 import numpy as np import pandas as pd import causalinference # シミュレーションデータを生成 n_samples = 1000   # サンプル数 treatment_effect = 0.2   # 介入効果 # ダミーデータを生成 np.random.seed(0) treatment = np.random.randint(2, size=n_samples)   # 0 または 1 の介入 covariates = np.random.rand(n_samples, 3)   # 3 つの共変量 outcome_control = np.random.normal(0, 1, n_samples)   # 介入なしの結果 outcome_treatment = outcome_control + treatment_effect + np.random.normal(0, 0.2, n_samples)   # 介入ありの結果 # データフレームを作成 data = pd.DataFrame({'Treatment':treatment, 'Covariate1':covariates[:, ...

因果関係のシミュレーションによるイノベーションの促進

因果関係のシミュレーションによるイノベーションの促進 企業や研究機関では、日常的に問題に原因を見つけ、解決策を探る作業を行っています。特に、研究開発部門や企画部門では、相関関係の発見から出発し、エビデンスを得るために高度な知識を持つ人材が検証作業を数ヶ月から数年かけて繰り返します。 エビデンスを得ることは、解決策の有効性を証明することです。最新の因果構造探索技術を活用し、因果関係のデジタルツインを作成することで、仮想的に因果関係を試行錯誤することができます。これにより、早期に失敗を経験し、より詳細な仮説に到達することができます。結果として、研究開発サイクルが短縮され、成功率が高まり、高度な人材の効率的な活用が可能になります。 現在、私たちが使っている技術は主に相関関係に基づいており、未来を予測することはできますが、その予測がなぜ起こったのかがわかりにくいです。そこで、因果推論を使って、なぜその予測がなされたのかを説明できる因果関係を重視し、理解しやすくする取り組みが進んでいます。 因果推論は、 2 つの出来事のうちどちらかがもう一方の原因であるという関係を考えます。データに基づいてこの関係を見つける手法です。因果関係と相関関係は別のもので、相関関係があっても因果関係がない場合もあります。   例えば、店舗 A で広告を打ったら売上が上がったとします。この場合、広告が売上の原因なのか、それとも偶然なのかを調べます。   ※因果関係を示すためには、以下の 3 つの条件を満たす必要があります ①      原因と結果の変化を同時に観測することができること(相関関係があること) ②      原因が結果に先行して起こること ③      他の変数の影響を制御すること   しかし、③の条件を満たすことは実際には非常に難しいことになります。なぜなら、他の変数の影響を完全に排除することは困難だからです。これが因果推論の根本的な課題であり、観測できない反事実に対処する必要があります。 「因果推論の根本問題」に対処するために通常使われるのが統計学です。この手法は、「統計的因果推論」と...