因果推論と因果探索について

因果推論と因果探索について

一般的な因果推論では、分析者が以下の点を事前に判断する必要があります。

  • 因果の方向として、例えば、XYの原因か、逆か。
  • 潜在共通原因の有無については、XYに影響を与える観測されていない要因(例:GDP)の存在。

これらの判断が正しければ、傾向スコアやバックドア基準、操作変数などの手法を用いて因果効果を推定できます。

例えば、

  • バックドア基準として、XYの間に潜在共通原因がない、または観測済みの原因で調整可能。
  • 操作変数として、Xの原因であり、Yに直接影響しない変数Zを用いて、潜在共通原因があっても因果効果を推定。

しかし、これらの判断は実際には困難です。

因果探索は、統計的因果推論の一分野であり、比較的新しい研究領域です。因果探索は、データから因果の方向や潜在共通原因の有無を推測し、分析者の判断を補助する手法です。線形性や分布の非ガウス性などの仮定を置くことで、複数の因果モデルから最も妥当なものを推定できます。

このブログの人気の投稿

小論文 統計的因果推論の現場適用による排泄ケアの展望

排泄ケア相談支援員の育成に向けて

解説 排泄ケアの相談支援計画書作成のためのチェックリスト