小論文05 万民が気持ちよく排泄できる社会を目指して ~EBCCと新刊書籍の意義~
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🔵Amazon Services International LLC / Feb 5.2025
社会医療法人崇徳会 地域総合サービスセンター 副センター長 山口勇司
【はじめに】
万民が気持ちよく排泄できる社会の実現を目指し、私はこれまで排泄ケアに関する相談やブログ・SNSを通じた啓蒙活動、そして教本の出版に取り組んできました。既にAmazonで5冊の書籍を出版しており、今回は特に「Evidence-based Continence Care(EBCC)」に焦点を当てた2冊の新刊を紹介します。 EBCCは「科学的根拠に基づいた排泄ケア」を意味し、私たちの活動の合言葉です。ここでは、2冊の書籍の内容と目的を詳しく解説し、EBCCが排泄ケアや医療・介護現場に与える影響について考察します。
【EBCCの意義と書籍の目的】
EBCCとは、Evidence-based(根拠に基づいた)、Continence(排尿や排便のコントロール)、Care(ケア・世話・治療)を組み合わせた概念で、科学的根拠に基づく排泄ケアを指します。このアプローチは、単なる経験や勘に頼るのではなく、データや統計的手法を用いてケアの質を向上させることを目指します。排泄は人間の尊厳に関わる基本的な行為であり、その支援には科学的裏付けが不可欠です。
新刊書籍はこの理念を具現化するものです。書籍1「因果推論と排泄ケア: Pythonを学び、因果推論で検証!根拠に基づくケアの仕組づくり」では、因果推論とPythonプログラミングを活用し、排泄ケアの実践的可能性を探ります。一方、書籍2「医療従事者が書いた因果推論と推測統計学: Pythonシミュレーションの実践で、根拠に基づく仕組を作る」は、「排泄ケア」という言葉に馴染みのない読者向けに記述を控え、医療従事者が統計的手法を学び、ケアの仕組みを構築することを目的としています。
【書籍1:因果推論と排泄ケアの融合】
書籍1は、排泄ケアと統計的因果推論を結びつけるユニークな試みです。因果推論は、ある事象が別の事象の原因かを科学的に評価する手法であり、ケアの効果を検証する強力なツールとなります。例えば、特定の介入が尿失禁の改善にどの程度寄与するかを分析することで、根拠に基づくケアを実践できます。
目次は幅広く、以下のようなトピックを網羅しています。
- 智慧と排泄ケア:体験から得た智慧を行動に活かす方法
- Pythonプログラミングの基礎:初心者向けに基本操作を指南
- 線形回帰分析:データ解析の実践例として風速と利益の関係を分析
- PPDACメソッド:データサイエンスのフレームワークを解説
- 因果推論:RubinやPearlの理論をPythonで実装
- 排泄ケアの基本的事項:初心に戻り基礎を再確認
これらは、排泄ケア従事者が統計的手法を学び、実践に活かすための包括的なガイドとなっています。
【書籍2:医療従事者向けの実践的アプローチ】
書籍2は、医療や介護福祉の現場で求められる精緻なアプローチに応えるものです。現代のヘルスケアでは、科学と技術の進化により、根拠に基づくケアが重要視されています。本書では、「排泄ケア」の記述を控えめにし、因果推論と推測統計学をPythonシミュレーションで学ぶことを重視しました。医療従事者がデータに基づく意思決定を行い、患者の生活の質を向上させる仕組みを作ることが目標です。
例えば、シミュレーションを用いて、異なる条件下でのケアの効果を予測できます。これにより、最適な介入策を選択し、現場での試行錯誤を減らすことが可能です。ただし、この取り組みはまだ学術的検討の段階であり、実際の現場適用にはさらなる検証が必要です。
【EBCCがもたらす可能性】
両書に共通するのは、EBCCの理念に基づき、科学的根拠をケアに取り入れる重要性を強調している点です。Pythonや統計的手法の習得は、ケア従事者に新たな視点を提供します。例えば、データ分析により、排泄障害の原因を特定し、効果的な治療法を導き出すことが可能になります。これにより、患者の健康と尊厳が守られ、社会全体の福祉が向上すると考えます。
私の活動は、排泄ケアの質向上を超え、誰もが快適に暮らせる社会を目指すものです。書籍1は排泄ケアに特化しつつ、書籍2はより広い医療従事者層にアプローチすることで、この目標に近づきます。
【結論と読者への呼びかけ】
EBCCを軸としたこれらの書籍は、排泄ケアやヘルスケアの未来を切り開く一歩です。Pythonや因果推論を学ぶことで、ケア従事者は科学的根拠に基づく実践を展開し、患者の生活を支えることができます。読者の皆様には、本書を通じて新たな知見を得て、現場での実践に活かしていただきたいと思います。また、ご意見やフィードバックをいただければ、今後の活動に反映させ、さらに意義深い取り組みを進められるでしょう。共に、万民が気持ちよく排泄できる社会を目指しましょう。
【参考文献】
①
排泄ケア総合研究所(排総研)教本 | 山口勇司 |
Amazon Services International LLC | 2023/6/6