Pythonにて因果推論②  ~シミュレーションモデルの解法例~

ythonにて因果推論②  ~シミュレーションモデルの解法例~

 

例題

排泄ケアに関連する因果推論と数値シミュレーションモデルを設定し、Pythonでコードを示します。このモデルは、例として特定のケースに焦点を当てています。排泄ケアにおける因果関係を調査するために、反事実的フレームワークを使用します。

〇反事実的フレームワーク 反事実的フレームワークによる分析は、特定の介入があった場合と介入がなかった場合の結果を比較して因果関係を調査する方法です。

〇モデルの要素

・介入(Treatment) 排泄ケアの特定のアプローチまたは介入(たとえば、特定の医療機器の使用)。

・結果(Outcome) 介入がある場合とない場合の患者の状態(たとえば、合併症の発生率)。

以下は、Pythonで因果推論の数値シミュレーションモデルの例です。

import numpy as np

import pandas as pd

import causalinference

# シミュレーションデータを生成

n_samples = 1000  # サンプル数

treatment_effect = 0.2  # 介入効果

# ダミーデータを生成

np.random.seed(0)

treatment = np.random.randint(2, size=n_samples)  # 0または1の介入

covariates = np.random.rand(n_samples, 3)  # 3つの共変量

outcome_control = np.random.normal(0, 1, n_samples)  # 介入なしの結果

outcome_treatment = outcome_control + treatment_effect + np.random.normal(0, 0.2, n_samples)  # 介入ありの結果

# データフレームを作成

data = pd.DataFrame({'Treatment':treatment, 'Covariate1':covariates[:, 0], 'Covariate2': covariates[:, 1], 'Outcome':outcome_treatment})

# 因果推論モデルを設定

causal = causalinference.CausalModel(

    Y=data['Outcome'].values,

    D=data['Treatment'].values,

    X=data[['Covariate1', 'Covariate2']].values

)

# 因果効果を推定

causal.est_via_ols()

# 介入効果を出力

print("介入効果(OLS法) ", causal.estimates['ols']['ate'])

出力結果

介入効果(OLS法)  -0.007676594545598243

※最小二乗法 ordinary least squares (OLS) method

 

モデルの概要を各ステップ毎に解説します。

  1. シミュレーションデータ生成

o    1000個のサンプルを生成します。

o    介入効果は0.2と設定されています。

o    ダミーデータとして介入(Treatment)は0または1で生成されます。

o    3つの共変量(Covariates)があります。

o    介入なしの結果(Outcome Control)は正規分布に従います。

o    介入ありの結果(Outcome Treatment)は、介入なしの結果に介入効果を加えたものです。

  1. データフレーム作成

o    シミュレーションデータを使って、treatment(介入)、Covariate1Covariate2outcome(結果)を持つデータフレームを作成します。

  1. 因果推論モデル設定

o    causal.CausalModelを使って因果推論モデルを設定します。Y(結果)、D(介入)、X(共変量)を渡します。

  1. 因果効果推定

o    causal.est_via_ols()を使って、最小二乗法(OLS法)により介入効果を推定します。

なお、より高度な因果推論手法を使用することもできます(例 IPWMatchingDoubly Robustなど)このコードでは、カウンタフェクチュアル分析を行うためのCausalInferenceパッケージを使用しています。データを生成し、介入効果を推定しています。因果関係の推定には、より高度な手法やツールを使用することもできます。データと問題に合わせてモデルを調整してください。

 

結果の解釈

  • causal.estimates['ols']['ate']として出力される値は、最小二乗法による平均治療効果(Average Treatment Effect, ATE)です。
  • 出力された値は -0.007676594545598243 です。これは、介入の有無に関わらず、介入が結果に与える影響がほとんどないことを示しています。具体的には、平均治療効果がほぼゼロであるため、介入が結果に統計的に有意な影響を与えていない可能性が高いです。

この結果から、排泄ケアの介入は今回のシミュレーションでは有意な効果を示さなかったと言えます。ただし、実際のケースではより多くのデータや他の因子を考慮する必要があります。

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