例題 ある病院で働く看護師の排泄ケアにかかる時間を調査分析
例題
ある病院で働く看護師の排泄ケアにかかる時間を調査し、以下の10人の看護師のデータ28,32,25,30,35,28,29,31,27,33を得ました。
このデータを用いて、母標準偏差の95%信頼区間を一般的な方法で解くPythonコードを示し計算結果を解釈してください。
母標準偏差の95%信頼区間を一般的な方法で求めるために、通常のt分布を用いて計算します。以下はPythonコードの例です。
import
numpy as np
from
scipy import stats
#
データセット
data
= np.array([28, 32, 25, 30, 35, 28, 29, 31, 27, 33])
#
平均と標準偏差の計算
mean
= np.mean(data)
std_dev
= np.std(data, ddof=1) # 不偏標準偏差
#
標準誤差の計算
std_error
= std_dev / np.sqrt(len(data))
#
95%信頼区間の計算
confidence_interval
= stats.t.interval(0.95, len(data) - 1, loc=mean, scale=std_error)
#
結果の表示
print("母標準偏差の95%信頼区間=", confidence_interval)
出力結果
母標準偏差の95%信頼区間=
(27.645995537089288, 31.954004462910714)
このコードでは、平均、不偏標準偏差、標準誤差を計算し、stats.t.intervalを使用してt分布に基づく95%信頼区間を求めています。
計算結果の解釈すると、結果が (27.645, 31.954) となり、母標準偏差は95%の確率で27.645から31.954の間に存在すると推定されます。この信頼区間は、標本から導出された統計量に基づいて母集団のパラメータを推定するための不確実性を示しています。
なお、ブートストラップ法と一般的な統計的手法(例 t検定や信頼区間)の主な違いは、データから標本を復元抽出する手法と、理論的な分布に基づいて計算する手法の違いです。
ブートストラップ法は、データから復元抽出を行い、そのサンプルから統計量を計算する手法です。ブートストラップ法はサンプリング分布を推定し、その分布から統計量の信頼区間や分散などを得ることができます。ブートストラップ法はデータ自体からの情報を利用し、非対称な分布や外れ値に対しても頑健です。
一般的な統計的手法は、理論的な確率分布(通常は正規分布やt分布)に基づいて統計量の期待値や信頼区間を計算します。これらの手法はデータが特定の分布に従っていることを仮定しています。例えば、t検定では標本平均の分布がt分布に従うと仮定しています。ブートストラップ法はデータに対する仮定が少なく、非常に汎用的で強力な手法ですが、計算コストが高いことがあります。一方で、一般的な統計的手法は特定の仮定に基づいて計算されるため、データがその仮定を満たしている場合に有効ですが、満たされていない場合には誤差が生じる可能性があります。
選択する手法は問題の性質やデータの特性によります。データの分布に関する事前の知識がない場合や、データが非対称である場合は、ブートストラップ法が有用であることがあります。