例題 母比率の差の検定による排泄ケアの効果評価

例題

母比率の差の検定による排泄ケアの効果評価

ある病院では、新しい排泄ケアトレーニングプログラムが導入され、その結果として患者のケア満足度が向上したかどうかを調査します。ある期間で新プログラムを受けた患者群と受けていない患者群の満足度についてデータがあります。以下は新プログラム受けた患者と受けていない患者の満足度に関するデータです。

新プログラムを受けた患者

•満足した  40

•満足しなかった  10

新プログラムを受けていない患者

•満足した  25

•満足しなかった  15

この場合、母比率の差の検定を使用して、新プログラム導入による満足度の変化を評価することができます。母比率の差の検定では、2つの比率の差が統計的に有意かどうかを検証します。

 

まず、以下はPythonコードの例です。ここでは、母比率の差の信頼区間を求めるためにproportions_ztest関数を使用します。また、帰無仮説と対立仮説は以下の通りです。

 

帰無仮説 (H0)  新プログラムを受けた患者群と受けていない患者群の満足率に有意な差がない

対立仮説 (H1)  新プログラムを受けた患者群と受けていない患者群の満足率に有意な差がある

from statsmodels.stats.proportion import proportions_ztest

# データ

satisfied_program = 40

unsatisfied_program = 10

satisfied_no_program = 25

unsatisfied_no_program = 15

# 検定

count = [satisfied_program, satisfied_no_program]

nobs = [satisfied_program + unsatisfied_program, satisfied_no_program + unsatisfied_no_program]

# 帰無仮説  満足率に有意な差がない

# 対立仮説  満足率に有意な差がある

stat, p_value = proportions_ztest(count, nobs, alternative='two-sided')

# 結果の表示

print("母比率の差の検定 ")

print("z統計量 ", stat)

print("p値 ", p_value)

# 有意水準との比較

alpha = 0.05

if p_value < alpha 

    print("帰無仮説を棄却し、新プログラムを受けた患者群と受けていない患者群の満足率に有意な差があると結論できます。")

else 

    print("帰無仮説を採択し、新プログラムを受けた患者群と受けていない患者群の満足率に有意な差がないと結論できます。")

出力結果

母比率の差の検定 

z統計量  1.841821840544762

p値  0.06550121425693103

帰無仮説を採択し、新プログラムを受けた患者群と受けていない患者群の満足率に有意な差がないと結論できます。

 

このコードでは、proportions_ztest関数を使用して母比率の差の検定を行い、p値を有意水準と比較しています。p値が有意水準よりも小さい場合、帰無仮説を棄却し、対立仮説を採択します。

 

計算結果として、有意水準 0.05 で帰無仮説を棄却できたことから、新プログラム導入に伴って満足度に変化がある可能性が高いと考えてよいか?

有意水準 0.05 で帰無仮説を棄却できた場合、統計的に新プログラム導入に伴って満足度に変化がある可能性が高いと考えても良いです。帰無仮説を棄却することは、統計的な有意差が存在することを示しており、新プログラムが患者の満足度に影響を与えている可能性が高まります。

ただし、統計的な有意差があっても、それが実用的に意味があるかどうかは注意が必要です。統計的な有意差だけでは、効果の大きさや臨床的な意義はわからないため、実際の状況やコンテキストを考慮して解釈する必要があります。

 

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