02.誤謬(ごびゅう)の事例~特定の論理的な誤りを表す言葉~
02.誤謬(ごびゅう)の事例~特定の論理的な誤りを表す言葉~
誤謬(ごびゅう)とは?
誤謬とは、論理的な誤りや間違いを指す言葉で、一般的には、推論や議論の過程で生じる論理的な矛盾や非合理性を指します。誤謬は、事実とは異なる結論を導く可能性があるため、正確な情報伝達や理解を妨げる要素となります。誤謬には様々な種類があり、それぞれ特定の論理的な間違いを表します。
相関と因果に関係する誤謬の事例
1.
因果関係を逆転させることによる誤謬
①
雨が降っていると、傘を差している人をたくさん見かけます。この現象から、「傘が雨の原因になっている」という結論は因果関係が逆である。
②
肥満は健康に良くないとされますが、一方で太っているほうが標準体重の人より長生きだという研究結果があります。しかし、不健康が低体重につながるという因果関係が確認され、「病気になると体重が減る」という視点が欠けていたことが判明しました。
③
火災現場に出動する消防士が多いほど、火災の規模は大きい。したがって、出動する消防士が多いと、火災が大きくなる。(消防士の人数と火災規模には、強い相関があるが、極めて稀なケースを除き因果関係は存在しない。火災が大きいから多数の消防士が出動しているのであり、因果関係は逆である)
④
新型コロナウイルス感染症(COV ID-19)の発生率が高い地域では病床数が多い事実をもとに,「病床数が,COVID-19の発生率の原因である」と結論づけることは、因果関係の逆転であり、明らかに間違っている。
⑤
「禁酒すると死亡率が高くなる」は、因果の逆転疫学研究において,原因と結果を逆にして解釈してしまい死亡率が高いのは「禁酒した人」で,その次にリスクが高いのが「多量飲む人」であった。
⑥
ある保険会社が保険契約率をあげるためデータの分析した結果、顧客一人あたりの訪問回数が多ければ多いほど保険の契約率が高いことが判明し、積極的に訪問回数を増やしましたが、契約率が下がってしまいました。検証をすると、実は保険を契約してくれそうな顧客には積極的に何度も訪問するようにしていたとのことでした。つまり、訪問回数が多いから契約率が高いのではなく、契約率が高そうだから訪問回数が多くなっていたということです。そのためむやみに訪問回数を増やしたことで、逆効果となって契約率が下がったと考えられます。
⑦
ある栄養士が肥満傾向の方の間食を分析すると、肥満傾向の方は正常な方と比べてノンカロリー飲料を多く飲む傾向がありました。そこで栄養士は「実はノンカロリー飲料は、肥満に繋がる飲料である」と解釈し、ノンカロリー飲料を飲まないよう指導しました。その結果、肥満を増強させ患者様からの信頼を失ってしましました。肥満の方はこれ以上太らないようにノンカロリー飲料を飲むようにしていただけでした。