両者が原因同士で発生した排泄ケアに関する誤謬例
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両者が原因同士で発生した排泄ケアに関する誤謬例
誤謬例1.ある研究が、排泄ケア製品の消費量と高齢者の下痢発生率の間に強い相関関係があることを示しています。つまり、排泄ケア製品の消費量が増加すると、高齢者の下痢発生率も高くなるという結果が得られました。
解説:この結果は、排泄ケア製品の消費量と高齢者の下痢発生率の間に直接の因果関係があるとは限りません。実際には、両者が同じ原因によって影響を受けている可能性があります。例えば、食事の変化や感染症などの要因が排泄ケア製品の消費量と高齢者の下痢発生率の両方に影響を与えている場合、両者の間に相関関係が生じることがあります。したがって、直接の因果関係を仮定する前に、他の要因も考慮する必要があります。
誤謬例2.ある研究が、特定の排泄ケア製品の使用量と高齢者の尿失禁の頻度の間に関連があるかどうかを調査しました。その結果、製品の使用量が多い地域ほど、高齢者の尿失禁の頻度が低いという結果が得られました。
解説:実際には、製品の使用量が多い地域と高齢者の尿失禁の頻度の間に直接の因果関係はありません。むしろ、両者が同じ原因によって影響を受けている可能性があります。たとえば、高齢者の尿失禁の頻度が低い地域は、一般的に高齢者の健康状態が良好である可能性があります。そのため、排泄ケア製品の使用量が多いのは、高齢者の健康状態が良好である地域であり、高齢者の尿失禁の頻度が低いのは健康状態が良好であるためかもしれません。両者の間に相関関係が見られるものの、直接の因果関係を示すには他の要因も考慮する必要があります。
※以上のことから、因果関係と決めてかかる前に、
・両者のつながりがまったくの「偶然」である可能性は?
・「他の要素」が関係していないか?
・そこにバイアスはかかっていないのか、
・原因と結果が「逆」になっている可能性は?
単なる相関関係ではなく本当に因果関係があると言えるのか、といった検証が必要です。さらに、「論理的」だからと言って「科学的」だとは限らないもので、前提が間違っていても、論理的思考によってロジックを立てることはできます。しかし、そもそも前提が正しくなければ、ロジックによって導き出される結論は誤ったものになります。ですから、ビジネスにおける意思決定はロジカルであるだけでは不十分です。「論理的だが、科学的ではない思考」に依存した意思決定は質の低いものにならざるをえません。