診断という客観的な評価を行う機械学習と生成AIが協力することで、高精度で使いやすい診断アプリが実現した!
診断のコアには機械学習があり、それをより高度で使いやすいものにするために生成AIが活用されています。
この二つのAIは、アプリの中でそれぞれ異なる重要な役割を担っており、協力することで診断システム全体が成り立っています。
AIたちの役割分担:専門医とカウンセラーの関係
このシステムのAIの働きを、病院の専門医と優れたカウンセラーの関係に例えると分かりやすいかもしれません。
| AIの種類 | 役割 | 例えるなら… |
| 機械学習モデル | 診断(識別・分析) | 経験豊富な専門医 |
| 生成AI | 対話と情報提供(生成) | 優れたカウンセラー |
1. 診断の核を担う「機械学習モデル(専門医)」
まず、診断の根幹をなすのは、これまで説明してきた機械学習モデルです。これは「識別系AI」とも呼ばれます。
役割: 大量の健常者と認知機能障害を持つ方の会話データを学習し、そのパターン(話し方のクセ、語彙、文法、声のトーンなど)の違いを徹底的に覚えています。そして、あなたの会話データが、どちらのパターンに近いかを識別・分析し、認知機能の状態をスコア化します。
得意なこと: 白黒はっきりさせること、パターンを見抜くこと、客観的に評価すること。
限界: 自分から新しい質問を考えたり、人間のように柔軟で自然な会話を組み立てたりするのは苦手です。
この「専門医」は、あなたの会話という名の検査データを見て、「記憶に関する部分に少し懸念がありますね」「言語の流暢性は問題ありません」といった専門的な診断を下すのが主な仕事です。
2. 対話を円滑にし、支援を形にする「生成AI(カウンセラー)」
ここ数年で急速に進化した生成AI(大規模言語モデル、LLMとも呼ばれます)は、この診断プロセスをより自然で、ユーザーフレンドリーにするために活躍します。
役割: 人間のような自然で文脈に沿った文章や会話を**新しく作り出す(生成する)**ことです。
具体的な仕事:
自然な質問の生成: 診断のきっかけとなる「最近楽しかったことは何ですか?」という最初の質問だけでなく、あなたの答えに応じて「それはどこに行かれたのですか?」「他には誰と一緒でしたか?」といった、話を深掘りするための質問を動的に生成します。これにより、紋切り型の質問ではなく、人間と話しているような自然な対話が実現します。
個別アドバイスの生成: 機械学習モデル(専門医)が出した「記憶力に課題の可能性」という診断結果を受け取ります。そして、その診断結果に基づき、「記憶力をサポートするために、今日あった出来事を3つだけ書き出す日記はいかがでしょうか。例えば…」といった、あなたの状況に合わせた具体的で分かりやすいアドバイス文章を生成します。
まとめ:二つのAIの連携プレー
診断アプリの中では、以下のような連携が行われています。
対話の開始(生成AI): 生成AIが自然な会話であなたに質問を投げかけ、話しやすい雰囲気を作ります。
会話データの分析(機械学習): あなたが話した内容を、裏で控えている機械学習モデルが専門的に分析し、認知機能のリスクを評価します。
結果の伝達(生成AI): 機械学習モデルの分析結果を、再び生成AIが受け取り、あなたに合わせた生活上のアドバイスとして、分かりやすく、思いやりのある言葉で伝えます。
このように、「診断」という客観的な評価を行う機械学習と、そのプロセス全体を人間にとって自然で分かりやすいものにする生成AIが協力し合うことで、高精度でありながら使いやすい診断アプリが実現しているのです。