MCI(軽度認知障害)に関する問診票の例と結果の解釈

※MCI(軽度認知障害)の段階で本人や家族の気づきに焦点を当てた問診で、適切な対策を実施することで、認知症への進行リスクを低減する手法。 

MCI(軽度認知障害)に関する問診票の例と結果の解釈

MCI(Mild Cognitive Impairment: 軽度認知障害)は、正常な老化による物忘れと認知症の中間にあたる状態です。日常生活に支障はないものの、本人や家族が「最近、物忘れが増えたかな?」と感じるような認知機能の低下がみられます。MCIの段階で早期に気づき、適切な対策を行うことで、認知症への進行を遅らせたり、予防できる可能性があります。

ここでご紹介するのは、あくまでMCIの「気づき」を促すための簡易的なチェックリストです。医学的な診断に代わるものではありませんので、ご留意ください。

【ご本人向け】最近の気になることチェック

ご自身の最近の様子を振り返り、当てはまるものにチェックを入れてください。

質問項目はいいいえ
1. 同じことを何度も話したり、尋ねたりすると言われる
2. 最近の出来事(昨日食べた物など)を思い出せないことがある
3. 大切な約束や予定を忘れることが増えた
4. 物の置き場所を忘れ、探すことが多くなった
5. 料理や買い物、公共料金の支払いなどの段取りが悪くなった
6. 会話中に適切な言葉がすぐに出てこないことがある
7. 慣れているはずの場所で、道に迷いそうになったことがある
8. 趣味や好きだったことへの関心が薄れてきた
9. 以前より頑固になった、あるいは怒りっぽくなったと言われる
10. 日付や曜日が分からなくなることがある

【ご家族・周囲の方向け】気になる変化チェック

ご本人の最近の様子について、当てはまるものにチェックを入れてください。

質問項目はいいいえ
1. 同じことを何度も話したり、尋ねたりする
2. 最近の出来事の記憶が曖昧になっているようだ
3. 約束をすっぽかしたり、忘れていることが増えた
4. 探し物が増え、「誰かが盗んだ」などと人のせいにすることがある
5. これまで出来ていた家事や作業に手間取るようになった
6. 会話がうまく噛み合わなかったり、言葉に詰まることが増えた
7. 慣れた道で運転を間違えたり、乗り物の乗り換えで戸惑う様子がある
8. 以前よりも無気力になったり、塞ぎ込んでいるように見える
9. 性格が変わったように感じる(例:疑い深くなった、怒りっぽくなった)
10. 時間や場所の感覚が不確かになっているように見える

結果の解釈と次のステップ

チェックが1〜2個の場合

年齢相応の物忘れの可能性がありますが、油断は禁物です。生活習慣(食事、運動、睡眠)を見直し、知的活動や社会参加を積極的に行うことを心がけましょう。

チェックが3個以上の場合

MCIの可能性が考えられます。物忘れがご自身やご家族の生活に少しでも影響を及ぼしている、あるいは心配が続くようであれば、一度専門医に相談することをお勧めします。

相談先

  • かかりつけ医: まずは身近な医師に相談してみましょう。

  • 物忘れ外来・認知症外来: 認知機能の専門家がいる医療機関です。

  • 認知症疾患医療センター: 各都道府県に設置されている専門医療機関です。

  • 地域包括支援センター: 高齢者の総合相談窓口で、医療機関の紹介なども行っています。

重要な注意点

  • 自己判断は禁物です。この問診票は、MCIの診断を確定するものではありません。あくまで受診の目安としてご活用ください。

  • MCIの診断には専門的な検査が必要。実際の診断では、医師による問診、神経心理検査(例: MMSE, MoCA)、脳の画像検査(MRI, CT)、血液検査などを総合的に評価して行われます。

  • 他の原因も考えられます。物忘れの症状は、甲状腺機能の低下、ビタミン不足、うつ病、ストレスなど他の原因によっても起こることがあります。これらの可能性も含めて、専門医に相談することが大切です。

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