4.タスク回避的および目標指向のアプローチ
4.タスク回避的および目標指向のアプローチ
介護には、問題回避型アプローチと目標指向型アプローチの2つのアプローチがあります。
問題回避アプローチは、問題を特定して解決することに焦点を当て、その人が元の状態またはより良い状態に戻るのを助けます。ただし、問題を解決できない場合、このアプローチは機能しない可能性があります。 また、本人は問題を問題として認識していなくても、家族や介護者は問題として認識している場合があります。目標は、問題を見つけて解決し、その人の生活を改善することです。
一方、目標指向アプローチは、具体的な目標を設定し、それを達成することによって、その人の状況を改善することを目的としています。
長期ケアでは、目標志向・問題回避の両アプローチが使用されます。たとえ解決できない問題があっても、その人の状態や希望を考慮し、達成可能な目標を設定することで、より充実した人生を実現することを目的としています。しかし、介護では、解決できない問題である高齢化や障害を対象とすることが多くあります。したがって、介護では課題回避型アプローチを併用しつつ目標志向型アプローチを中心にして進めることになります。本人の状態や希望などを総合的に勘案して目標を設定し、それを達成することで、より充実した生活・人生を獲得しようとする手法です。
そこで、NLP*というコミュニケーション手法を紹介します。NLPとは「脳の取り扱い説明書」と言われ、目標の実現法や問題、悩みの解決に役立てられています。思考と行動、そして感情をコントロールすることができるようになるだけでなく、他者への影響力を高めることが可能になります。そして、コミュニケーションスキルとして、仕事や家庭などの人間関係の構築や修復にも活用されています。
※NLP:Neuro Linguistic Programming(神経言語プログラミング)とは、「脳の取扱説明書」とも呼ばれるコミュニケーション手法です。 目標達成や問題解決、心配軽減等に役立ちます。NLPは、自分の思考、行動、感情をコントロールし、他者への影響力を高めることにも利用できます。これらは、職場でも家庭でも関係を構築し、修復するために使用できる貴重なコミュニケーションスキルです。
NLPは、心理学と言語学の観点から、1970年代初頭にリチャード バンドラーとジョン グラインダーによって開発されました。NLPは、言語と行動が互いにどのように影響するかを主体とする、人間の心理とコミュニケーションのシステムです。
NLPは、2種類の人々を認識しています。目標を達成することに意欲的な個人と、トラブルやリスクを回避することに集中する傾向がある問題回避型の個人です。目標指向の個人をやる気にさせるには、「達成すること」、「獲得すること」、「入手すること」を強調する言葉を使用する必要がありますが、問題を回避する個人は、回避、防止、排除(取り除く)を強調する言葉によく反応します。
タイプに応じて、他の人とコミュニケーションをとるときは、適切な言語を使用することが重要です。たとえば、歯ブラシを販売する場合を例に、目標志向の人には、「歯が白くきれいになる」ということに関心が高まりますが、問題を回避する人は「口臭や虫歯を予防できる」を強調する言葉によく反応します。
他の人に影響を与えたり説得したりするのに苦労している場合は、対象の視点と言語を理解することが重要です。NLPでは、相手の世界観を尊重し、その言葉に耳を傾けることを重視しています。自分の使い慣れた言葉や指示を使用するのではなく、彼らが理解し、反応する方法でコミュニケーションすることが重要です。
失禁ケアに関しては、患者とその家族のニーズをよりよく理解し、それに対応するために、コーチングとコミュニケーションのスキルを再考する必要があります。