機能性尿失禁

(4)機能性尿失禁

機能性尿失禁は、泌尿器系に問題はなくても、トイレからの物理的な距離などの環境要因や、認知症や歩行困難などの精神的および身体的な制限により、個人が膀胱を制御できない場合に発生します。たとえば、認知症の人はトイレの使い方がわからなかったり、時間通りにトイレに行けないことがあります。そのような場合、介護やリハビリによって生活環境を改善することができます。

 

※医療機関における尿失禁の診断

尿失禁を診断するには、医療機関でさまざまな検査を行い、患者さんの尿失禁のタイプを特定する必要があります。

 

診断プロセスは、尿漏れが発生した時期、排尿の頻度と量、およびその他の関連情報を判断するための問診から始まります。患者は、排尿日誌を数日間記録するように求められる場合があります。病歴、妊娠・出産歴、服用している薬、職歴、生活習慣などもお聞きします。スムーズな診断を確実にするために、検査前にこれらの情報を要約することをお勧めします。

 

尿検査、パッドテスト(尿失禁患者において、体動時の失禁尿をパッドにより採取し、定量的な尿失禁の評価を行うテスト)、超音波残尿量測定などの非侵襲的検査を使用して診断を行います。医師はまた、骨盤底筋の動きを評価するために内診を行い、原因を特定するために脳と脊髄のCT画像を使用することもあります。


1).排尿日誌

数日間の排尿状態を患者や家族に記録してもらうものです。どのような時に尿が漏れるのか、1日の排尿回数や1回の排尿量、尿意切迫感などから、尿失禁の原因を推定して、その後どのような検査が必要かを分析する資料にします。

 

2).内診・超音波検査

内診台にて、膣の中に入れる超音波と会陰(膣の表面)からの超音波検査を行い、尿道の過可動や骨盤底筋の動きを確認します。

 

3).膀胱・尿道内圧測定

尿道から膀胱に細い管を入れて、その管から水を少しずつ入れて膀胱や尿道の圧力を測定するものです。尿をためる時や排尿する時の膀胱の圧力を測り、膀胱や尿道の機能に異常がないか調べます。

 

4).尿流量測定

機械のついたトイレに排尿して頂き、排尿の勢いと時間を測ります。

 

5).残尿測定(超音波検査)
 排尿後に膀胱内の尿が残っていないかを超音波で調べます。


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