おむつの装着方法には介護者によって上手い・下手がある!
おむつの装着方法には介護者によって上手い・下手があり、おむつを適切にフィットするよう装着するためには、重要な手順があります。これらの手順に従うことで、漏れを防ぎ、おむつが利用者にとって、より快適なものとすることができます。おむつ装着のポイントは次のとおりです。
※おむつ交換の手順
1.事前に準備するもの
①
おむつ(テープ式)
②
尿とりパッド
③
使い捨て手袋
④
タオル(温かいお湯で絞ったもの、乾いたもの)
⑤
トイレットペーパーまたはティッシュ
⑥
ぬるま湯の入った容器(陰部洗浄用※お湯の温度に注意)
⑦
バケツ(または専用の洗面器)
⑧
新聞紙
⑨
ビニール袋
2.テープ式おむつ・パッドの準備
① 先ずは、製品のサイズ、吸収量、各種特徴と装着手順等の説明内容を熟読し理解してから開封する。不明な点は製品メーカー窓口に問い合わせする。
② ディスポ手袋を着用する。(衛生的でない手で菌を媒介する恐れがあり、相互の安全を保持するため)
③ パッドやおむつを振らない。(おむつの中の高分子吸水ポリマーが偏り尿漏れの原因となるため)
④ 包装されたおむつやパッドは、きっちりたたまれ圧縮されているので、縦の中心で折ってからパッドの長方両端を持ち軽く引っ張り伸ばすことで立体ギャザーをしっかり立てる。パッドのギャザーがしっかり立つと立体の船形になる。(立体ギャザーは、尿漏れを防ぐ堤防の役割をします。立体ギャザーがつぶれていると、堤防がない状態になり、尿漏れしやすくなります。)
⑤ さらに、介護者はギャザーをしっかり立てるため、人差し指と親指を開き、ギャザーの端から端まで内側を通してギャザーを確実に立てる必要があります。(ギャザーが立っている確認の意味でも実施するとよい)
⑥ テープ式おむつのモレ防止立体ギャザーの内側に、尿とりパッドを入れます。
2.使用済みおむつを包むための新聞紙を広げ、ビニール袋を開いて準備しておく。
3.おしぼりなどを使いやすいように用意をする。
4.ベッドの高さを調整し、掛け毛布などは足元に折りたたんでおく。
① テープ式おむつの場合は、仰臥位での装着となることから、ベッドの高さを調整し、介護者が無理な体制にならないようにします。次に、介護者側のサイドレールを取り外します。
② おむつを替えるときは、きれいなところと汚いところを見分ける。向かって頭側の手はモノをとったりする手、足元は使用済みおむつや洗浄に使用する手と決めておきます。頭側の手で物を持ち上げたり、シャワーボトルを持ち、足側の手で陰部を拭きます。汚れた手できれいな部位に触れたりしないでください。
5.おむつを外す
①
おむつ交換の際は、異常の早期発見に努めます。
②
おむつ交換の際は、肛門、外陰部、下腹部、臀部、股間など、おむつカバーの縁が擦れる部分の赤み、湿疹などの肌トラブルを確認します。また、便の硬さ、色、臭いなどの性状や尿の色、濁り、固形物などの変化、尿路感染症の症状を示しているか確認します。
③
陰部洗浄または温かいお湯で絞ったタオルで拭く。その後、水分が残っているとかぶれの原因になるので、乾いたタオルで水分を拭き取り、必要に応じて塗り薬や保湿クリームなどをぬる。
(※1日1回は、ぬるま湯で陰部を洗い乾いた布で拭き取る)
・洗浄の際に便が尿道に入らないよう注意しましょう。
・特に、女性の場合は、尿道と肛門が近いため、拭き取る際は尿道側からおしりにむかって拭くようにします。また、この時に、皮膚の変化や排泄物の異常を見逃さないようにしましょう。
④
尿や便の残りがないか確認してから汚れたおむつを丸めて横向きにします。
⑤
陰部やおしりをぬるま湯で前から後ろに洗い流し、水分を拭き取ってからおむつを抜き取ります。
7.新しいおむつの装着手順
①
まず、おむつの端を腰に合わせ、しっかりと固定されていることを確認します。
②
被介護者に横になってもらい、腰の部分がよく見えるようにします。
③
横向きにした体に、おむつのテープがつかないように折り、おむつの中心を背骨の位置に合わせておきます。(おむつの上側テープが腰骨の位置より上になるように置きましょう。)
④
おむつを腰の下にスライドさせて広げます。
⑤
身体を仰向けにして、奥側からおむつを優しく引き出だします。
⑥
体をゆっくりと仰向けにして、奥側からおむつを優しく引き出だし、尿とりパッドを引き上げ、尿とりパッドにズレ止めテープがある場合は、それを剥がします。
⑦
尿とりパッドの立体ギャザーを両手で軽く持ち、脚のつけ根に沿うように引き上げましょう。テープ式おむつの漏れ防止立体ギャザーが股ぐりに沿うように優しく引き上げ、中心マークを体の中心線に合わせます。
⑧
テープ止めおむつのシワを伸ばしながら、左右に広げます。
⑨
尿とりパッドがずれないように上から軽く押さえ、下側のテープを左右順番に止め、次に上側のテープも左右順番に止め、体に合わせます。下側のテープは骨盤に沿って斜め上向きに、上のテープは斜め下向きに貼り付けることで、歩行や、座位や寝た場合の突っ張り等の不快感を防ぎます。お腹部分は圧迫しすぎないように手のひらが入る程度のゆとりを持たせ、背中はシワができないようにします。
⑩
最後に、前後左右対称に調整して、おむつの見栄えと快適性を確認します。
⑪
衣類やシーツが汚れている場合は交換し、ベッドの高さを戻す。
⑫
汚れたオムツ類、ディスポの手袋やおしり拭きは新聞紙に包んでビニール袋に入れる。
⑬
石けんで手洗う。
⑭
部屋の換気をする。
8.装着について、追加説明すると
① 男女別の装着
テープ式おむつ・失禁パッドの男女別装着方法は、女性は幅の広い方を後ろ、男性は前にしてください。尿道口は、広い部分の中央に配置する必要があります。ただし、男性の場合はペニスの向きによって配置を変える必要があります。後ろを向いている場合は、女性のように配置する必要があります。
② パッドはズレないように立体ギャザーに収める
テープタイプのおむつにパッドを入れる際は、おむつのギャザーの縦横中央に挟み、ズレを防止してください。パッドが大きすぎる場合は、ギャザーの上に置きます。
③ 紙おむつが傾いていないかを確認
おむつが傾いていないか、パッドが適切に配置されているかを確認してください。(仮にずれて尿道口がパッドのギャザーに当たると、ギャザーは撥水加工なので、尿をはじきます。すると、パッドはきれいなのに衣類は濡れるという不思議な現象が生じる場合があるので注意)基本的にはテープ式もパンツ式も同様に、前後左右対称になるようにセットするのが基本です。
※パッドを中心に当てない例外処置
片麻痺の方や、半側臥位(はんそくがい)で寝る習慣をお持ちの方などは、パッドの中央よりも外側に尿が流れてしまう傾向があり、パッドが片方だけ汚れて、外に漏れる場合があります。この場合は、パッドを漏れやすい方に少し寄せることで対処できます。
④ 紙おむつのシワを伸ばす
漏れや肌へのダメージを防ぐためには、テープ式のおむつやパッドのシワを伸ばすことが大切です。両方を持ち、つま先に向かって左右に軽く1回ずつ引っ張ります。皮膚の損傷を防ぐため、強く引っ張りすぎないでください。(この加減が重要で、強すぎると皮膚の損傷等につながるので、優しく引く程度)シワがあると、身体との隙間ができ、漏れや皮膚を傷める原因になります。また、シワがあると、お尻がモコモコして、ズボンを上げにくい状態になるので、シワを伸ばしてズボンを履かせやすくすることで、更衣介助の負担軽減が可能です。
⑤ 紙おむつを装着する
紙おむつを装着する際は、太ももの内側に当たって肌を傷めることがありますので注意が必要です。摩擦や痛みを防ぐために、おむつを半分に折ります。パッドのギャザーがしっかりと立ち上がり、股間と一直線になるようにします。おむつは股間より広く、内股部分の皮膚を擦ることになります。そこで、半分に折ってから(山折り谷折り何れも可)当てるようにします。パッドの当て方はメーカーにより、ギャザーを持つ、山折りにする、谷折りにする、つまむなど、推奨される方法は異なっています。基本的にはパッドのギャザーがしっかり立って、足の付け根である鼠径部に沿っていれば良いことになります。
⑥ おむつに挟んでしまっている皮膚の処理
股間にパッドを当てる場合、筋肉量が少ない方ほど、皮膚がたるんで、周囲の皮膚を巻き込んでしまう場合があるので、外に出すようにしましょう。さもないと、皮膚を巻き込んで挟んだままにすると、おむつの中に隙間ができて、尿漏れに繋がります。パッドで皮膚をおむつに挟まないよう外に出しながら当てましょう。パッドはテープ式おむつのギャザー内に収めることが重要です。
⑦ テープは上下が交差し、重なるように貼る
テープはパッドがずれないように下の両サイドから留めます。左右のバランスを考え斜め上の方向に持ち上げるようにしてテープを留め、太ももの外側がフィットしているのを確認します。このとき、テープを真横に向け留めるとまた関節の自由度が奪われ、特に動きが阻害され足が挙がらない状態になり歩行等もしにくくなります。
次に上の両サイドのテープを留めます。上のテープは腸骨の上に係るように体の線に沿わせ斜め下方向に留めます。真横に水平に留めると座位になったときに腹部を圧迫することに繋がります。逆にお腹まわりが緩いと漏れにつながるので注意が必要です。また、やせた方だと体にフィットせずに落ちる場合があるので留意してください。
おなかまわりや脚まわりはきつすぎず、ゆるすぎないように、指1本が入るくらいが目安です。
最後に、お尻の部分にしわがないこと、パッドがはみ出していないこと、前後左右対称でフットし、見た目が良いこと、利用者に不快感がないことが重要ですので確認してください。
⑧ おむつ交換の後処理
おむつ交換後、汚れたらシーツやパジャマを交換し、ベッドのサイドレールを元に戻し、ベッドを元の高さに戻します。汚れたおむつやパッドを新聞紙で包み、袋に入れ、袋をしっかりと結んで廃棄に出します。そして、手洗い、消毒、部屋の換気をします。
⑨ おわりに
介護の負担を軽減し、不快感を与えないためには、おむつを正しく装着して漏れを防ぎ、肌を清潔に保ち褥瘡(床ずれ)や尿路感染症を防止することが重要です。