記述式ケース問題49 38歳男性、重度の精神障害(統合失調症)を患っており、日常生活において多くの支援が必要。排泄行為に関しては自発的な意欲が乏しく、トイレへの移動や排泄を拒否することが多い。
症例49
- 患者情報 38歳男性、重度の精神障害(統合失調症)を患っており、日常生活において多くの支援が必要。排泄行為に関しては自発的な意欲が乏しく、トイレへの移動や排泄を拒否することが多い。在宅では、主に家族が介護を行っているが、精神的な負担が大きく、適切な排泄ケアが行われていない。
質問
この患者に対して、経過観察を行いながら排泄ケアの支援計画書を作成してください。以下の点を含めてください。
- 初回から短期的および長期的な目標を設定してください。
- 在宅介護者と当事者の今後が見通せるようなアドバイス内容を示してください。
- 社会資源を有効活用するための提案をしてください。
- SWOT分析とクロスSWOT分析を行い、支援計画を策定してください。
- BSC(バランススコアカード)とKPI(重要業績評価指標)を用いて進捗状況を求める形式でまとめてください。
解答例
1.
短期的目標 (1〜3ヶ月)
- 目標1 排泄ケアのための安定した環境を整え、トイレへの移動を支援する。
- 目標2 介護者が排泄ケアに関する基本的な知識と技術を習得し、支援に自信を持てるようにする。
- 目標3 患者が排泄に対する恐怖感や抵抗感を軽減するためのメンタルサポートを受ける。
2.
長期的目標 (6ヶ月〜1年)
- 目標1 患者が排泄行為を自発的に行えるようになり、トイレに自ら行くことができる。
- 目標2 介護者が排泄ケアに対する不安を克服し、患者とコミュニケーションをとりながら適切に支援できる。
- 目標3 地域の福祉資源を活用し、介護者のメンタルヘルスをサポートする体制を構築する。
3.
アドバイス内容
- 介護者へのアドバイス
- 「排泄時には安心できる環境を整えることが大切です。トイレの近くにリラックスできる空間を作り、患者が不安を感じないように配慮してください。また、必要であれば専門家に相談して、技術を学ぶことをお勧めします。」
- 当事者へのアドバイス
- 「私たちがしっかりとサポートしますので、何か気になることがあれば教えてください。トイレに行くことは大切で、安心してできる環境を作っていきます。」
4.
社会資源の有効活用
- 精神保健福祉センターや地域の訪問介護サービスを利用し、専門職からの指導やサポートを受ける。
- 地域のメンタルヘルスプログラムやサポートグループに参加し、情報交換や支援を受ける。
SWOT分析
Strengths
(強み) |
Weaknesses
(弱み) |
-
家族による支援があり、理解がある |
-
排泄に対する拒否感 |
-
地域の福祉資源が利用可能 |
-
精神的な不安定さ |
Opportunities
(機会) |
Threats
(脅威) |
-
メンタルヘルスに関する新しいプログラム |
-
精神状態の悪化 |
-
地域支援サービスの充実 |
-
介護負担の増加 |
クロスSWOT分析
強み (S) |
機会 (O) |
S-O戦略 |
-
家族の理解と支援 |
-
地域の福祉資源 |
福祉資源を活用して、家族が専門的な知識を得る機会を増やす。 |
-
利用可能な訪問介護サービス |
-
新しいメンタルヘルスプログラム |
専門職の訪問を通じて、患者のケアを改善し、介護者にフィードバックを行う。 |
弱み (W) |
脅威 (T) |
W-T戦略 |
-
排泄に対する拒否感 |
-
精神状態の悪化 |
メンタルヘルスの専門家に早期に相談し、支援を受ける。 |
-
精神的な不安定さ |
-
介護負担の増加 |
サポートグループや専門家の助けを求め、負担を軽減する。 |
BSC(バランススコアカード)とKPI
視点 |
目標 |
指標 |
KPI |
進捗状況 |
次のアクション |
顧客 |
患者の排泄行為への受け入れ |
自発的なトイレ利用回数 |
利用回数 (目標 週2回) |
週1回 |
環境調整の見直し |
財務 |
コスト効率の良い介護 |
社会資源の利用率 |
利用率 (目標 70%) |
60% |
新たな資源の調査 |
内部プロセス |
排泄ケアの質を向上 |
専門職による評価 |
評価の質 (目標 良好) |
中程度 |
定期的な評価の実施 |
学習・成長 |
介護者のスキル向上 |
研修参加率 |
参加率 (目標 80%) |
50% |
次回研修の計画 |
解説
支援計画を通じて、短期的および長期的な目標を明確にし、介護者と当事者がともに成長していく姿を見えるようにすることが重要です。社会資源を活用し、SWOT分析を通じて強みを最大限に活かし、課題に取り組むことで、より良い排泄ケアを実現していくことが可能です。