記述式ケース問題48 65歳女性、軽度の身体障害(左下肢に軽度の麻痺あり)を持つ。日常生活の中で、トイレへの移動に支援が必要で、排泄ケアに対して一定の自立性を保ちたいと希望している。

症例48

  • 患者情報  65歳女性、軽度の身体障害(左下肢に軽度の麻痺あり)を持つ。日常生活の中で、トイレへの移動に支援が必要で、排泄ケアに対して一定の自立性を保ちたいと希望している。家族は介護者として関与しており、患者の意向を尊重しつつ支援を行っている。

質問
この患者に対して、経過観察を行いながら排泄ケアの支援計画書を作成してください。以下の点を含めてください。

  1. 初回から短期的および長期的な目標を設定してください。
  2. 在宅介護者と当事者の今後が見通せるようなアドバイス内容を示してください。
  3. 社会資源を有効活用するための提案をしてください。
  4. SWOT分析とクロスSWOT分析を行い、支援計画を策定してください。
  5. BSC(バランススコアカード)とKPI(重要業績評価指標)を用いて進捗状況を求める形式でまとめてください。

 


 

解答例

1. 短期的目標 (13ヶ月)

  • 目標1  患者がトイレまで自力で移動できる距離を増やし、補助具を用いた移動のサポートを行う。
  • 目標2  介護者が排泄ケアに関する基本的な知識と技術を習得し、排泄ケアに自信を持てるようにする。
  • 目標3  患者が排泄のタイミングを理解し、自発的に知らせることができるようにする。

2. 長期的目標 (6ヶ月〜1)

  • 目標1  患者が日常生活の中で、トイレに行く際のサポートを最小限にし、自立した排泄行為ができるようになる。
  • 目標2  介護者がストレスを軽減し、患者の排泄ケアを円滑に行えるようになるためのコミュニケーションスキルを身につける。
  • 目標3  地域の福祉資源を活用し、定期的な訪問介護やリハビリテーションを受ける体制を確立する。

3. アドバイス内容

  • 介護者へのアドバイス
    • 「患者の意向を尊重しながら、移動をサポートする際には、補助具を積極的に使用し、自立を促す声かけを行いましょう。また、患者が自分のタイミングでトイレに行くことをサポートするために、トイレの位置を分かりやすくしておくことも重要です。」
  • 当事者へのアドバイス
    • 「トイレに行きたいと感じたら、いつでもお知らせしてください。少しずつ自分で移動できる距離を増やしていきましょう。私たちがサポートしますので、安心してください。」

4. 社会資源の有効活用

  • 地域の訪問介護サービスを利用し、専門職による支援やリハビリテーションを受ける。
  • 地域の高齢者福祉センターに参加し、同じような状況の他の介護者との情報交換や支援を受ける。

 

SWOT分析

Strengths (強み)

Weaknesses (弱み)

- 患者が自立したい意欲がある

- 軽度の身体障害による移動の制限

- 家族の理解とサポートがある

- 排泄行為に対する不安

 

Opportunities (機会)

Threats (脅威)

- 地域の福祉資源が豊富

- 精神的な負担やストレス

- 定期的なリハビリの機会

- 介護者の疲弊

 

クロスSWOT分析

強み (S)

機会 (O)

S-O戦略

- 患者の自立したい意欲

- 地域の福祉資源

福祉資源を活用して、患者の自立を促進するプログラムに参加する。

- 家族のサポート

- リハビリの機会

リハビリを通じて家族も一緒に学ぶことで、サポートがより効果的になる。

 

弱み (W)

脅威 (T)

W-T戦略

- 移動の制限

- 精神的な負担

専門家によるサポートを受けて、介護者のメンタルヘルスを守る。

- 排泄行為への不安

- 介護者の疲弊

定期的な相談を行い、介護者の負担を軽減するプログラムを活用する。

 

BSC(バランススコアカード)とKPI

視点

目標

指標

KPI

進捗状況

次のアクション

顧客

患者の自立した排泄行為

自発的なトイレ利用回数

利用回数 (目標  週3)

2

トイレまでの移動距離を短くする。

財務

コスト効率の良い介護

福祉資源の利用率

利用率 (目標  80%)

70%

新たな福祉資源の調査。

内部プロセス

排泄ケアの質向上

介護者による評価

評価の質 (目標  良好)

中程度

定期的な評価とフィードバックを実施。

学習・成長

介護者のスキル向上

研修参加率

参加率 (目標  75%)

60%

次回研修の計画を立てる。

 

 

解説

この支援計画を通じて、短期的および長期的な目標を明確にし、介護者と当事者が共に成長していく姿を見えるようにすることが重要です。社会資源を活用し、SWOT分析を通じて強みを最大限に活かし、課題に取り組むことで、より良い排泄ケアを実現していくことが可能です。 

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