記述式ケース問題38 75歳女性。中等度の認知症を伴い、周辺症状(不安、混乱、徘徊)が見られる。
排泄ケア相談員・シニアコース・記述式問題
⇒※排泄ケア相談員については、家庭の排泄ケア相談所のWEBを参照ください。 https://www.sutokukai.or.jp/cssc/about/haisetsu.html
症例38
- 患者情報 75歳女性。中等度の認知症を伴い、周辺症状(不安、混乱、徘徊)が見られる。トイレ誘導の際には「行かない」と拒否し、歩き回ることが多く、失禁が発生しやすい状況である。
質問
この患者に対して、経過観察を行いながら継続的な排泄ケアに関する相談支援計画書を作成してください。具体的には、初回アドバイス、1週間後の経過観察後のアドバイス、2週間後の再評価後のアドバイスをそれぞれまとめてください。
解答例
相談支援計画書
患者情報
- 名前 〇〇花子
- 年齢 75歳
- 性別 女性
- 診断 中等度認知症
- 主な問題 不安、混乱、徘徊、トイレ誘導の拒否、失禁
目標
- 患者が安心してトイレに行ける環境を整える。
- トイレ誘導の成功率を向上させる。
- 失禁による皮膚のトラブルを防ぐ。
初回アドバイス(1日目)
- 環境の整備
- トイレまでの道のりを分かりやすくするために、目印を設けたり、明るい照明を配置する。
- トイレ内に安心できるアイテム(タオルや好きな花など)を置き、患者がリラックスできる空間を作る。
- コミュニケーションの工夫
- 患者が不安を感じないように、やさしく声をかける。「トイレに行く時間ですよ」と、明確に誘導する。
- 不安を和らげるために、患者の気持ちに寄り添い、共感する。「大丈夫、すぐに戻るからね」と伝える。
- 定期的なトイレ誘導
- 患者の排泄リズムに基づいて、1時間ごとにトイレへ誘導するスケジュールを立てる。
1週間後の経過観察後のアドバイス(7日目)
- 経過の評価
- 患者のトイレ誘導の成功率と失禁の頻度を記録し、変化を確認する。
- 成功体験の強調
- トイレ誘導が成功した際には、すぐに褒める。「よく頑張ったね!トイレに行けてよかったね」と、ポジティブな強化を行う。
- 不安への配慮
- 患者が不安を感じる様子が見られた場合、その理由を確認し、安心できるように説明する。例えば、「今は安全な場所だから、安心して」と声をかける。
- 身体のサポート
- トイレ誘導時には、しっかりとした身体のサポートを行い、必要に応じて歩行補助具を使用する。
2週間後の再評価後のアドバイス(14日目)
- 再評価の結果
- 患者のトイレ誘導の成功率が改善されている場合、これを確認する。
- 選択肢の提示
- トイレ誘導の際に、「トイレに行くのか、少し待つのか、どちらがいい?」と選択肢を与え、自分の意思で決める感覚を持たせる。
- リラクゼーション技法の導入
- トイレ誘導の前に、簡単な深呼吸を行うことを提案し、リラックスした状態でトイレに行けるようにする。
- 介護者へのサポート
- 介護者に対して、感情的なサポートやストレス管理の技術を共有し、必要に応じて専門家の支援を勧める。
解説
この相談支援計画書は、周辺症状を示す患者に対し、環境を整え、心理的なアプローチを通じて排泄ケアの質を向上させることを目指しています。経過観察を行い、柔軟に対応することで、患者の反応を観察し、徐々にトイレ誘導を進めていくことが重要です。