記述式ケース問題41 80歳男性、アルツハイマー型認知症。最近、排泄に関する問題(トイレへの誘導拒否、失禁)が増えている。
排泄ケア相談員・シニアコース・記述式問題
⇒※排泄ケア相談員については、家庭の排泄ケア相談所のWEBを参照ください。 https://www.sutokukai.or.jp/cssc/about/haisetsu.html
症例41
- 患者情報 80歳男性、アルツハイマー型認知症。最近、排泄に関する問題(トイレへの誘導拒否、失禁)が増えている。周辺症状として、混乱や不安が見られ、トイレの使用に対して強い抵抗がある。主介護者は75歳の妻で、介護の経験が少なく、ストレスを感じている。
質問
この患者に対し、経過観察を行いながら排泄ケアの支援計画書を作成してください。具体的には、初回から短期的および長期的な目標を設定し、在宅介護者と患者が共に今後の見通しを持てるようなアドバイス内容を盛り込み、地域の社会資源を有効に活用する計画を提案してください。
解答例
支援計画書
初回評価
- 患者の状態 アルツハイマー型認知症による排泄ケアの困難。トイレ誘導の拒否や失禁が見られる。混乱や不安を訴えることが多い。
- 介護者の状況 75歳の妻が主に介護を担当。介護経験が少なく、身体的・精神的な負担を感じている。
短期的目標(1〜3ヶ月)
- トイレ誘導の成功率を50%に向上させる
- アクション トイレの使用を促すため、リズムを持った声かけ(例 2時間ごとの誘導)を行う。排泄のサインを観察し、安心感を与えるよう努める。
- 介護者への支援
地域包括支援センターに相談し、訪問介護サービスの利用を検討。専門家のアドバイスを受けて、介護技術を学ぶ。
- 失禁の回数を週に2回以下に減少させる
- アクション 尿漏れパッドの使用を推奨し、快適さを保つ。トイレの近くに安心感を持てる環境を整える(例
好きなものを周りに置く)。
- 介護者への支援
地域の支援団体に連絡し、失禁対策のセミナーに参加することで情報を得る。
長期的目標(3ヶ月以上)
- トイレ使用の自立を促進し、精神的な抵抗を軽減する
- アクション トイレを「安心できる場所」として認識してもらうため、ポジティブな体験を増やす(例
トイレの装飾や好きな音楽をかける)。
- 介護者への支援
認知症ケアの専門家によるアドバイスを受け、トイレ誘導の方法やコミュニケーション技術を学ぶ。
- 介護者の負担軽減と精神的なサポートの提供
- アクション 介護者同士の交流の場を設け、悩みを共有できるようにする。定期的にリフレッシュの機会を持つ(例
家族や友人にサポートを求める)。
- 介護者への支援
地域の福祉サービスを活用し、短時間の訪問介護サービスを利用する。また、心理的なサポートを得るためのカウンセリングを利用する。
進捗評価
- 1ヶ月ごとに目標達成状況を確認し、必要に応じて支援内容を調整する。
- 介護者と患者の双方が感じるストレスや改善点についても定期的にフィードバックを行う。
解説
この支援計画は、在宅介護者と当事者が共に今後の見通しを持てるよう、短期・長期の目標を設定し、地域の社会資源を最大限に活用していくことを目指しています。支援を通じて、より良い排泄ケアを実現し、精神的な負担の軽減を図ります。