記述式ケース問題51 55歳男性、脊髄損傷により下肢に障害を持つ。排泄に関する自主性が低下しており、日常的に介助を必要とする。自宅では配偶者が介護を担当しているが、サポートが不足している。
症例88
- 患者情報 55歳男性、脊髄損傷により下肢に障害を持つ。排泄に関する自主性が低下しており、日常的に介助を必要とする。自宅では配偶者が介護を担当しているが、サポートが不足している。排泄ケアに関して不安を抱えており、トイレへの移動が困難。
質問
この患者に対して、経過観察を行いながら排泄ケアの支援計画書を作成してください。以下の点を含めてください。
- 初回から短期的および長期的な目標を設定してください。
- 在宅介護者と当事者の今後が見通せるようなアドバイス内容を示してください。
- 社会資源を有効活用するための提案をしてください。
- SWOT分析とクロスSWOT分析を行い、支援計画を策定してください。
- BSC(バランススコアカード)とKPI(重要業績評価指標)を用いて進捗状況を求める形式でまとめてください。
解答例
1.
短期的目標 (1〜3ヶ月)
- 目標1 患者が週に3回以上自発的にトイレに行けるようになる。
- 目標2 トイレへの移動をサポートするために、介助具(移動用具やトイレ用手すりなど)を導入する。
- 目標3 在宅介護者が排泄ケアに関する基本的な知識を学び、患者を安心させる声かけを行う。
2.
長期的目標 (6ヶ月〜1年)
- 目標1 患者がトイレに行くことに対する不安を軽減し、自発的にトイレに行くことができるようになる。
- 目標2 家族が排泄ケアを自信を持って行えるようになり、定期的な相談を行う。
- 目標3 地域の支援ネットワークを活用し、定期的な情報交換や研修に参加する。
3.
アドバイス内容
- 介護者へのアドバイス
- 「トイレに行く前に、必ず声をかけてあげてください。また、手すりを設置して安全に移動できる環境を整えましょう。必要であれば訪問介護サービスを利用して、専門職からの支援も受けてください。」
- 当事者へのアドバイス
- 「トイレに行くことは大切なことです。私たちがサポートしますので、安心して行ってください。何か困ったことがあれば、すぐに教えてください。」
4.
社会資源の有効活用
- 地域の訪問介護サービスを利用し、専門職からの指導を受ける。
- 障害者支援団体や地域の福祉施設のプログラムに参加し、情報交換を行う。
SWOT分析
Strengths
(強み) |
Weaknesses
(弱み) |
-
専門職による訪問介護が受けられる |
-
排泄に対する不安感 |
-
家族の支援があり、介護に対する関心が高い |
-
自主性の低下 |
Opportunities
(機会) |
Threats
(脅威) |
-
地域の支援プログラムが充実している |
-
介護負担の増加 |
-
新しい介護技術の導入が可能 |
-
症状の進行によるケアの複雑化 |
クロスSWOT分析
強み (S) |
機会 (O) |
S-O戦略 |
-
専門職による訪問介護 |
-
地域の支援プログラム |
支援プログラムに参加し、介護技術を学び、実践に活かす。 |
-
家族の支援があり、関心が高い |
-
新しい介護技術の導入 |
訪問介護を通じて新しい技術を取り入れる。 |
弱み (W) |
脅威 (T) |
W-T戦略 |
-
排泄に対する不安感 |
-
介護負担の増加 |
早期に専門職の支援を受けて、効果的なケア方法を導入する。 |
-
自主性の低下 |
-
症状の進行によるケアの複雑化 |
定期的なカウンセリングを受け、メンタルヘルスを支える。 |
BSC(バランススコアカード)とKPI
視点 |
目標 |
指標 |
KPI |
進捗状況 |
次のアクション |
顧客 |
患者の排泄ケアの受け入れ |
受け入れ回数 |
受け入れ回数 (目標 週3回) |
週1〜2回 |
環境調整の見直し |
財務 |
コスト効率の良い介護 |
社会資源の利用率 |
利用率 (目標 70%) |
50% |
新たな資源の調査 |
内部プロセス |
排泄ケアの質を向上 |
専門職による評価 |
評価の質 (目標 良好) |
中程度 |
定期的な評価の実施 |
学習・成長 |
介護者のスキル向上 |
研修参加率 |
参加率 (目標 80%) |
60% |
次回研修の計画 |
解説
この支援計画を通じて、短期的および長期的な目標を明確にし、介護者と当事者がともに成長していく姿を見えるようにすることが重要です。社会資源を活用し、SWOT分析を通じて強みを最大限に活かし、課題に取り組むことで、より良い排泄ケアを実現していくことが可能です。