10.排尿のメカニズム
10.排尿のメカニズム
尿は、左右の尿管を通って一定の速度で少量ずつ膀胱に入ります。 ただし、これは必ずしも尿意を引き起こすわけではありません。
膀胱内の尿量が400㎖を超えると、膀胱内の圧力が上昇します。この膀胱壁の伸張は伸張受容体を活性化し、信号を脊髄に送り、次に脳幹と大脳皮質に送ります。大脳皮質が排尿の指示を受け取ると、膀胱内の排尿筋(平滑筋)が収縮し、内尿道括約筋(不随意筋)が弛緩します。さらに、外尿道括約筋(随意筋)も弛緩し、腹圧が排尿を助けます。(図参照)。
※脊髄損傷と泌尿器疾患について
仙骨脊髄に由来する骨盤神経は、排尿の開始に関与しています。一方、腰髄から出ている下腹神経は排尿を抑制します。両方の神経が膀胱の平滑筋と括約筋を制御します。仙骨脊髄からの陰部神経は、尿道から外尿道口へと尿を押し出します。脳幹と大脳皮質の泌尿器中枢は、これらの神経を統合的に調節しています。
仙骨脊髄の上の損傷により、抑制性神経支配が失われ、排尿反射を刺激する骨盤神経のみが残ります。しかし、仙骨脊髄が損傷すると、排尿反射が起こらなくなり、排尿障害につながる可能性があります。