排泄動作におけるプロセス解析
排泄動作におけるプロセス解析
身体機能を正確に評価するには、排泄プロセスを分解し、ICFに基づき、パフォーマンス低下の根本的な原因追求や対策の立案をすることが重要です。排泄動作に含まれるステップを分析することで、具体的な問題とその解決策を導くことが容易となります。(排泄行動の工程図を参照)
次の図に示した包括的なチェックリストを使用し、排泄プロセスの中に、できることとできないことを調査・検討することで問題を特定し、詳細な目標を設定できます。これにより、各ステップの問題を解決して、最終的には、より自立を達成することができます。排泄は、さまざまな身体的および精神的要因が関与する複雑なプロセスです。各ステップの障害を特定するために「できること」に○、「できるのにしていない」ことに△、「できないこと」に✕の記号をチェックリストに記載します。
個人の挑戦を促し、困難な部分をサポートすることで、残りの機能を維持し、より大きな自立を達成することができます。このチェックリストを使用して、問題の原因となっている手順を特定し、それらを解決する方法を見つけてください。
例えば、
① 尿意・便意を感じるでは、医療での治療・投薬や時間誘導、声掛けで、排泄の有無の自覚として「出ました!」の伝達行動へ誘導する。
② トイレまで移動するでは、動線の検討、移動能力の改善、杖や車いす、福祉用具の活用、動線の環境整備等を検討する。
③ ズボンや下着を下げるでは、ウエストゴムやスカート活用などの衣服の工夫、手の精密で巧みな動作である巧緻(こうち)動作の改善、立位バランスの獲得、更衣スペースの確保等を検討する。
④ 便器に上手く座るでは、手すりや便器の高さなどの福祉用具、足場、照明、動作スペースを含めた環境整備、便器に座るための足関節及び膝関節など関節稼働域確保、下肢筋力、バランス能力の改善等を図る。
⑤ 排尿・排便をするでは、腹圧コントロールなどの下部体幹筋の強化、座位姿勢の保持、緊急ブザー設置などの安全面への配慮(安心感の獲得)等を検討する。
⑥ 後始末をするでは、排水レバーの操作、トイレットペーパーやウォシュレット等、何を使うか。衛生用品の配置や使い勝手、手洗い動作の獲得、使用済みの衛生用品を処理するためのゴミ箱等の配置や使い勝手の工夫を考慮する。
⑦ 下着やズボンを上げるでは、ウエストゴムやスカート活用などの衣服の工夫、手の巧緻動作の改善、立位バランスの獲得、更衣スペースの確保等を検討する。
⑧ 部屋へ戻るでは、帰路の体力維持・獲得、移動能力の改善、福祉用具の活用、動線の環境整備等を工夫検討する。