記述式ケース問題18 72歳・女性、軽度の認知症、排尿のタイミングや排便の感覚が喪失
排泄ケア相談員・シニアコース・記述式問題
⇒※排泄ケア相談員については、家庭の排泄ケア相談所のWEBを参照ください。 https://www.sutokukai.or.jp/cssc/about/haisetsu.html
ケース18 利用者Y(72歳・女性)
利用者Yは、軽度の認知症を抱え、最近排泄に関する問題が顕著になっています。具体的には以下の問題があります
- 排泄の時間感覚の喪失 利用者Yは排尿のタイミングや排便の感覚を失っており、トイレに行くことを忘れることが多くなっています。
- 自己管理の困難 認知症の影響で、自分で適切なトイレタイミングを判断することが難しく、適切な排泄ケアが難しくなっています。
- 排泄ケアの自尊心の喪失 自身の排泄管理に対して無力感を感じ、自尊心が低下している様子が見受けられます。
このケースに対して、以下の点についてアドバイスを記述してください。
質問
- 利用者Yの排泄時間感覚の喪失に対して、どのような排泄ケアプランを提案しますか?
- 認知症による自己管理の困難に対して、どのような介入方法が考えられますか?
- 利用者Yの自尊心を保ちながら排泄ケアを行うためには、どのような心理的サポートや環境調整が有効ですか?
解答例
1. 利用者Yの排泄時間感覚の喪失に対する排泄ケアプラン
- 定期的な排尿・排便スケジュールの設定
- タイムリマインダーの活用 例えば、トイレに行く時間をスマートフォンやアラームで定期的にリマインドする仕組みを導入します。利用者Yに合わせた時間間隔(例 2時間ごと)でリマインダーを設定し、トイレに行く習慣を身につけさせるようにします。
- 視覚的なカレンダーの使用 トイレに行く時間を明示した視覚的なカレンダーやスケジュールボードを利用者の目に見える場所に設置します。これにより、排泄のタイミングを視覚的に確認できるようにします。
- トイレへのアクセスの最適化
- トイレまでの道の安全確保 利用者Yがトイレにアクセスしやすいように、通路を明るくし、安全な手すりを設置します。これにより、移動がスムーズに行えるようにします。
2. 認知症による自己管理の困難に対する介入方法
- 補助的な介護機器の活用
- トイレリマインダーシステムの導入 自動的にトイレの利用を促すためのリマインダーシステムや音声ガイドを導入し、利用者Yが適切なタイミングでトイレに行けるようサポートします。
- 簡単なトイレマニュアルの作成 簡単なイラストや文字でトイレの使い方や手順を書いたマニュアルを作成し、トイレの近くに置いておきます。これにより、利用者が手順を確認しながらトイレを使えるようにします。
- ケアチームによるサポート
- 定期的な声掛けとサポート ケアスタッフが定期的に利用者Yに声をかけ、トイレに行くよう促すことで、排泄のリズムを整えます。利用者がトイレに行くタイミングを把握しやすくするため、スタッフとのコミュニケーションを強化します。
3. 利用者Yの自尊心を保ちながら排泄ケアを行うための心理的サポートや環境調整
- 心理的サポートの提供
- 尊厳を尊重したアプローチ 排泄ケアを行う際には、利用者Yの尊厳を尊重し、できるだけ自主的にトイレを使う機会を提供します。ケアの過程で利用者の意向を尊重し、必要なサポートを行う際も丁寧に声をかけます。
- ポジティブなフィードバックの提供 利用者Yがトイレを利用できた際には、積極的にポジティブなフィードバックを行い、自己効力感を高めるようにします。
- 環境調整
- プライバシーの確保 トイレや排泄ケアの際には、プライバシーが守られるよう配慮し、他の利用者やスタッフからの視線がない環境を整えます。プライバシーを確保することで、利用者の安心感を高めます。
- 快適な環境作り トイレを利用する際の環境を快適に保つために、清潔な状態を保ち、必要な設備や補助具が整っていることを確認します。
解説
この解答例では、利用者Yの排泄時間感覚の喪失、自己管理の困難、自尊心の喪失に対する具体的な対応策を提案しています。排泄ケアプランの設定、介入方法、心理的サポートと環境調整の重要性を示し、利用者の生活の質を向上させるための包括的なアプローチを提供しています。