記述式ケース問題11 82歳・男性、重度の糖尿病と末梢神経障害により、排尿と排便に関するトラブル
排泄ケア相談員・シニアコース・記述式問題
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ケース11 利用者N(82歳・男性)
利用者Nは、重度の糖尿病と末梢神経障害により、排尿と排便に関するトラブルが多く、慢性的な尿漏れと便秘を抱えています。さらに、糖尿病による視力障害があり、自分で排泄用具を確認することが難しい状況です。利用者Nは、介護施設ではなく自宅での生活を希望しており、家族は訪問介護サービスを利用していますが、毎日の排泄ケアには限界があります。
最近、利用者Nは、尿漏れと便秘の影響で皮膚トラブル(褥瘡や皮膚炎)が発生しています。利用者Nの自宅には、排泄ケアを支援するための特別な設備や支援者が不足しており、これが利用者Nの生活の質を低下させています。
質問
- 利用者Nの排泄ケアにおける問題を解決するための具体的な対策を提案してください。
- 利用者Nの家庭環境を改善するために、どのような設備やサービスを導入すべきかを説明してください。
- 利用者Nのケアをサポートするための家族への教育や支援の方法を述べてください。
解答例
1. 利用者Nの排泄ケアにおける問題を解決するための具体的な対策
- 尿漏れの管理
- 高吸収性の排泄用具 尿漏れを効果的に管理するために、高吸収性の尿取りパッドやおむつを選定し、使用します。利用者Nの状態に合ったサイズとタイプを選び、適切な交換頻度を確保します。
- 排尿スケジュールの作成 尿意を管理するために、定期的な排尿スケジュールを作成し、時間ごとにトイレ誘導を行います。また、必要に応じて尿道カテーテルの使用も検討しますが、医師と相談して決定します。
- 便秘の対策
- 食事の見直し 食物繊維が豊富な食事を提供し、便通を促進します。また、十分な水分摂取を促進するための工夫を行います。
- 便秘解消剤の使用 便秘の症状が改善しない場合、医師と相談の上、便秘解消剤や緩下剤の使用を検討し、適切な治療を行います。
- 皮膚トラブルの予防
- 褥瘡予防の対策 皮膚トラブルを防ぐために、定期的な体位変換を行い、褥瘡予防用のクッションやマットレスを使用します。また、皮膚の清潔を保ち、適切なスキンケア製品を使用します。
- 皮膚のケア 皮膚炎が見られる場合は、専門医の指示に従い、適切な皮膚科治療を行い、保湿剤や治療薬を使用します。
2. 利用者Nの家庭環境を改善するために、導入すべき設備やサービス
- 排泄支援用具の導入
- 視覚障害者向けの用具 視力障害に対応するため、触感や音声で操作できる排泄用具を導入します。例えば、点字ラベルや音声案内機能付きの排泄用具を提供します。
- ポータブルトイレと介助器具 トイレまでの移動が困難な場合、ポータブルトイレや昇降便座を設置し、介助しやすい環境を整えます。
- 在宅ケアの強化
- 訪問介護の頻度増加 訪問介護のサービスを週に2回以上に増やし、日常的な排泄ケアと皮膚ケアを強化します。また、訪問看護サービスを検討し、医療的なサポートも含めます。
- 介護支援のコミュニティリソース 地域のボランティア団体や介護支援サービスと連携し、定期的な訪問や見守りサービスを利用します。
3. 利用者Nのケアをサポートするための家族への教育や支援の方法
- 家族への教育
- 排泄ケアの基本 家族に対して、尿漏れや便秘の管理方法、皮膚トラブルの予防策についての教育を行います。具体的には、排泄用具の交換方法や皮膚ケアの基本を教え、実践的なスキルを身につけてもらいます。
- 緊急対応の指導 緊急時の対応方法や、体調の変化に対する注意点についての指導を行い、家族が適切に対応できるようにします。
- 定期的な相談とサポート
- 定期的なフォローアップ 家族との定期的な相談を行い、利用者Nの状態に応じたケアの調整や問題解決のサポートを提供します。必要に応じて、電話やオンラインでの相談を活用します。
- ストレス管理とサポート 家族の介護負担を軽減するためのサポートを提供し、ストレス管理の方法やリフレッシュ方法についてのアドバイスを行います。
解説
この解答例では、利用者Nの複雑な健康状態に対応するための具体的な排泄ケアの改善策、家庭環境の改善に向けた設備やサービスの提案、そして家族への教育と支援の方法を包括的に示しています。これにより、利用者Nの生活の質を向上させ、家族の負担を軽減し、ケアの質を向上させる方法を提供しています。