記述式ケース問題21 83歳・男性、下肢の筋力低下と軽度の認知症、排泄を感じるタイミングに問題

排泄ケア相談員・シニアコース・記述式問題

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ケース21  利用者N83歳・男性)

利用者Nは、下肢の筋力低下と軽度の認知症を持っています。以下の問題があります

  • 排泄のタイミングの不規則性  下肢の筋力低下により、トイレまでの移動が困難であり、トイレに行くタイミングが不規則になっています。
  • 認知症による混乱  認知症の影響で、排泄の必要性を感じるタイミングが把握できず、時折不適切な場所で排泄してしまいます。
  • 社会的な孤立感  近隣との交流が少なく、社会的孤立感が強く、排泄に対する不安やストレスが増しています。

このケースに対して、以下の点についてアドバイスを記述してください。

質問

  1. 下肢の筋力低下によるトイレ移動の困難さに対して、どのような介助や環境調整を行いますか?
  2. 認知症による排泄のタイミングの混乱に対して、どのような支援や補助を行いますか?
  3. 社会的孤立感が排泄ケアに与える影響を軽減するために、どのようなアプローチを取ることが考えられますか?

解答例


1. 下肢の筋力低下によるトイレ移動の困難さに対する介助や環境調整

  • 移動支援用具の導入
    • 歩行補助具の利用  歩行器や杖を利用することで、トイレへの移動を安全かつスムーズにします。適切な歩行補助具の選定と使用方法についての指導も行います。
    • 手すりの設置  トイレの前やトイレ内に手すりを設置し、立ち上がりや座る際のサポートを行います。これにより、移動や排泄の際の身体的負担を軽減します。
  • トイレ環境の工夫
    • トイレの近くにリマインダーを設置  トイレまでの移動が困難な場合には、リマインダーやアラームを設置し、定期的なトイレ誘導を支援します。

2. 認知症による排泄のタイミングの混乱に対する支援

  • 定期的な排泄誘導
    • タイムスケジュールの導入  一日の中で定期的なトイレ誘導のタイムスケジュールを作成し、視覚的に確認できるカレンダーや時計を使用します。
    • リマインダーの使用  声掛けやアラームで排泄のタイミングをお知らせするシステムを導入し、認知症の影響を最小限に抑えます。
  • サポート体制の強化
    • 視覚的サポートの提供  トイレの場所や使い方についての説明を視覚的に示す案内を作成し、利用者がトイレの使用方法を容易に理解できるようにします。
    • トイレ介助の実施  必要に応じて、介助者がトイレに同行し、タイミングや場所のサポートを行います。

3. 社会的孤立感が排泄ケアに与える影響を軽減するためのアプローチ

  • コミュニケーションの促進
    • 定期的な訪問や対話の機会提供  利用者との対話を通じて、社会的なつながりを感じられるようにし、孤立感を軽減します。定期的な訪問や交流の機会を提供します。
    • 地域交流の促進  地域のサポートグループやボランティアとの連携を図り、利用者が社会との接点を持つように支援します。
  • 心理的サポートの実施
    • ストレス軽減のための活動  利用者の興味や趣味に基づいた活動を提供し、社会的なつながりを感じられるようにします。これにより、排泄に対する不安やストレスを軽減します。
    • メンタルヘルスの支援  必要に応じて、心理的なサポートやカウンセリングを提供し、孤立感やストレスの軽減に努めます。

解説

この解答例では、下肢の筋力低下による移動困難、認知症による排泄のタイミングの混乱、そして社会的孤立感の影響に対する具体的な対策を提案しています。利用者の身体的なニーズに応じた環境調整、認知症による混乱に対する定期的な支援、そして社会的孤立感を解消するためのコミュニケーションや心理的サポートが含まれており、現場で見落としがちな側面にも配慮しています。

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