記述式ケース問題13 82歳・男性、軽度の脳卒中後遺症と慢性的な糖尿病、頻尿と便秘
排泄ケア相談員・シニアコース・記述式問題
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ケース13 利用者N(82歳・男性)
利用者Nは、軽度の脳卒中後遺症と慢性的な糖尿病を抱えています。これにより、下肢の運動機能に制限があり、また糖尿病に伴う頻尿と便秘の問題も抱えています。利用者Nは自宅で一人暮らしをしており、毎日訪問介護を受けていますが、排泄ケアに関しては以下の問題が発生しています
- 頻尿の管理 日中の頻尿は改善してきたものの、夜間に頻繁にトイレに行く必要があり、睡眠の質が低下しています。
- 便秘の問題 糖尿病の影響で便秘が慢性化しており、腹痛や不快感を訴えています。加えて、便秘による腹部膨満感も見られます。
- 安全性の問題 下肢の運動機能の低下により、トイレへの移動が困難で、転倒のリスクがあります。
家族は、利用者Nが快適に生活できるよう、排泄ケアを適切に行うためのアドバイスを求めています。利用者Nの健康状態を維持しつつ、家族の介護負担を軽減するために、以下の点についてアドバイスしてください。
質問
- 利用者Nの頻尿と便秘に対する包括的なケアプランを提案してください。
- 利用者Nの自宅環境を安全に保つために必要な設備や改修を説明してください。
- 家族へのサポートと教育の方法について、具体的なアプローチを述べてください。
解答例
1. 利用者Nの頻尿と便秘に対する包括的なケアプラン
- 頻尿の管理
- 排尿パターンの見直し 利用者Nの排尿パターンを記録し、夜間の頻尿を軽減するための水分摂取スケジュールを調整します。夜間の水分摂取を控え、昼間に十分な水分を摂取させるようにします。
- リラックス法の導入 就寝前にリラックスするためのストレッチや深呼吸を推奨し、心理的な緊張を緩和させることで、夜間頻尿を軽減します。
- 便秘の対策
- 食事と水分の改善 高繊維食(例えば、全粒穀物、果物、野菜)を取り入れ、糖尿病の管理も考慮した食事プランを作成します。十分な水分摂取も促進します。
- 便通を促す運動 関節に優しい軽度の運動(例 ストレッチや足の動かし方)を取り入れ、腸の活動を促進します。運動プログラムを専門の理学療法士と連携して設定します。
- 医療的介入 必要に応じて、便秘を管理するために医師と連携し、適切な下剤や便通改善薬を処方してもらいます。
2. 利用者Nの自宅環境を安全に保つための設備や改修
- トイレ環境の改善
- トイレ手すりの設置 トイレ周辺に安定した手すりを設置し、利用者Nがトイレへの移動や立ち上がりをサポートできるようにします。
- 滑り止めマット トイレ周辺に滑り止めマットを敷き、安全性を高めます。
- 移動のサポート
- 歩行補助具の導入 移動をサポートするために、歩行器や杖などの補助具を使用します。必要に応じて、訪問リハビリテーションサービスの利用も検討します。
- 自宅内の安全対策 自宅内の障害物を取り除き、利用者Nが安全に移動できるようにします。また、トイレまでの道のりに明るい照明を設置し、視認性を向上させます。
3. 家族へのサポートと教育の方法
- 家族への教育
- 排泄ケアの基本技術 排泄ケアに関する基本的な技術やアプローチを家族に指導し、頻尿や便秘の管理方法について具体的に説明します。
- 介護負担の管理 家族が負担を軽減できるように、介護の負担を分担する方法やリラクゼーションテクニックを教え、ストレス管理の方法を指導します。
- サポートの提供
- 定期的なチェックイン 家族との定期的な連絡を通じて、ケアプランの進行状況を確認し、問題が発生した場合には早急に対応します。
- 支援ネットワークの活用 地域の介護支援グループやコミュニティリソースを紹介し、家族が利用できるサポートを提供します。オンラインサポートグループや相談窓口を紹介することも役立ちます。
解説
この解答例では、利用者Nの複合的な健康問題に対処するための包括的なケアプラン、自宅環境の安全性向上のための設備提案、および家族への教育とサポートの方法を具体的に示しています。これにより、利用者Nの生活の質を向上させ、家族の介護負担を軽減するための実践的なアプローチが提供されています。