記述式ケース問題5 80歳・男性、認知症、排泄に関する問題が顕著

排泄ケア相談員・シニアコース・記述式問題

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ケース5: 利用者H80歳・男性)

利用者Hは認知症を患っており、日常生活の多くに支援が必要です。特に排泄に関する問題が顕著で、トイレの使い方がわからなくなったり、排泄のタイミングを自分で判断することが難しくなっています。家族(妻と息子)が主な介護者で、妻は高齢で体力的に支援が難しく、息子はフルタイムで働いており、家にいる時間が限られています。現在、利用者Hは昼間はおむつを使用しており、夜間は寝室に介助ベッドを設置して介助を行っていますが、家族の負担が増しています。

質問

  1. 利用者Hの排泄ケアを改善し、利用者H自身とその家族の負担を軽減するための具体的な提案をしてください。
  2. 利用者Hの家族に対して、ケアの負担を軽減するためのサポートやアドバイスを提供してください。
  3. 利用者Hの認知症に配慮し、排泄ケアを実施する際の介護スタッフへの指導内容を述べてください。

解答例


1. 利用者Hの排泄ケアを改善し、利用者H自身とその家族の負担を軽減するための具体的な提案

·         トイレのリマインダーとサポート:
認知症の利用者に対して、トイレのタイミングをリマインダーするための視覚的なサインやアラームを設置することを提案します。例えば、トイレの前に「トイレの時間です」と書かれたサインを設置する、または音や光で知らせるアラームを使用することで、利用者Hが自分でトイレを思い出す手助けをします。

·         排泄スケジュールの確立:
利用者Hがトイレを使う時間を定期的に設定し、定期的なトイレ誘導を行います。例えば、食後や起床後など、一定のリズムでトイレ誘導を行うことで、利用者Hが排泄のタイミングを学び、失禁を減少させることができます。

·         適切なおむつの使用:
昼間の失禁を軽減するために、おむつの選択や装着方法を見直します。防水性の高いおむつや、快適さを提供するための高吸収性のおむつを使用し、定期的に交換を行います。また、利用者Hが不快感を感じないように、適切なサイズとフィット感を確認します。

·         介助環境の整備:
トイレへの移動が安全に行えるよう、手すりや滑り止めマットを取り付け、トイレの入り口に視覚的な案内を設置します。また、介助ベッドの位置や構造を見直し、利用者Hがトイレに行く際に最も便利な配置を考えます。


2. 利用者Hの家族に対してのサポートやアドバイス

·         在宅介護サービスの活用:
家族の負担を軽減するために、訪問介護サービスを利用することを提案します。専門の介護スタッフが定期的に訪問し、トイレのサポートや排泄ケアを行うことで、家族の負担を分散させることができます。また、短期間のショートステイやデイサービスも考慮し、家族が休息できる時間を確保する方法も提案します。

·         役割分担の見直し:
家族内での役割分担を見直し、息子が在宅で支援できる時間に合わせたケアプランを作成します。また、他の親族や地域のボランティアを巻き込み、定期的なサポートを提供する方法を考えます。

·         ケア者支援の提供:
家族が介護に関するストレスや疲労を軽減できるよう、介護者向けのサポートグループやカウンセリングの利用を提案します。また、介護に関する情報提供やトレーニングを行い、家族が適切なケアを行えるようサポートします。


3. 利用者Hの認知症に配慮した排泄ケアを実施する際の介護スタッフへの指導

·         認知症に配慮した対応:
介護スタッフは、利用者Hが混乱や不安を感じないように、穏やかで親しみやすい言葉でコミュニケーションを取るように指導します。また、利用者Hの反応や状態に応じて、柔軟に対応を調整することが重要です。

·         一貫したケアとルーチンの確立:
スタッフは、利用者Hの排泄ケアにおいて一貫したルーチンを守るようにします。定期的なトイレ誘導や、一定の時間に合わせたケアを行うことで、利用者Hが安心感を得られるようにします。

·         プライバシーの尊重と安全確保:
トイレ利用時にはプライバシーを尊重し、ドアを閉める、カーテンを引くなどの方法で、利用者Hがリラックスできる環境を提供します。また、トイレへの移動時には、転倒のリスクを最小限に抑えるために、手すりや歩行補助具を使用することを徹底します。


解説

この解答例では、認知症を患っている利用者Hの排泄ケアを改善するための具体的な対策や家族へのサポート方法、そして介護スタッフへの指導内容を包括的に示しています。利用者Hが安心して排泄ケアを受けられるように、環境整備やスケジュールの設定、家族への支援、スタッフの指導に重点を置き、全体的なケアの質を向上させるアプローチを提供しています。

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