記述式ケース問題14 70歳・女性、軽度の認知症と重度の関節リウマチ、移動困難
記述式問題
⇒※排泄ケア相談員については、家庭の排泄ケア相談所のWEBを参照ください。 https://www.sutokukai.or.jp/cssc/about/haisetsu.html
ケース14 利用者O(70歳・女性)
利用者Oは、加齢に伴う軽度の認知症と重度の関節リウマチを抱えています。これにより、トイレに行く際の動作が困難で、認知症によって排泄のタイミングを適切に把握することが難しくなっています。利用者Oの家族は、以下の問題について相談しています
- 認知症による排泄の管理 利用者Oはトイレに行くタイミングを忘れがちで、時折不適切な場所で排泄することがあります。
- 関節リウマチによる運動制限 関節の痛みと可動域の制限により、トイレまでの移動が非常に困難で、転倒のリスクも高いです。
- 排泄に対する精神的なストレス 排泄のたびに精神的な不安を抱えており、家族とのコミュニケーションが難しくなっています。
利用者Oの生活の質を向上させるため、以下の点についてアドバイスしてください。
質問
- 利用者Oの認知症と関節リウマチを考慮した排泄ケアプランを提案してください。
- 利用者Oの自宅環境を改善するための具体的な設備や改修案を示してください。
- 家族へのサポートと教育の方法について、具体的なアプローチを述べてください。
解答例
1. 利用者Oの認知症と関節リウマチを考慮した排泄ケアプラン
- 認知症の管理
- 定期的な排泄スケジュール 利用者Oがトイレに行くべきタイミングを決め、アラームやリマインダーを使用して、排泄のタイミングをサポートします。
- 視覚的なサポート トイレの位置や使い方を示す視覚的なサインや指示を家の中に設置し、認知症の進行に応じたサポートを行います。
- 関節リウマチの管理
- トイレへのアクセスの支援 家庭内でのトイレまでの道のりに手すりを設置し、杖や歩行器などの補助具を使用します。また、必要に応じて、理学療法士と連携し、関節への負担を軽減するためのエクササイズを実施します。
- 動作を楽にするための工夫 トイレの座面を高くし、立ち上がりやすくするための便座クッションを使用します。
- 精神的なサポート
- リラクゼーション技法の導入 排泄の際にリラックスできるように、呼吸法や軽いストレッチを取り入れることを提案します。利用者Oが安心して排泄できるよう、落ち着いた環境を提供します。
2. 利用者Oの自宅環境を改善するための設備や改修案
- トイレ環境の改修
- 手すりの設置 トイレ周辺に安全性を高めるための手すりを設置し、利用者Oが自立してトイレに行けるようにします。
- 便座の高さ調整 高さ調節可能な便座を設置し、座りやすさと立ち上がりやすさを確保します。
- 滑り止めマットの敷設 トイレ内とその周辺に滑り止めマットを設置し、転倒リスクを低減します。
- 家全体の安全対策
- 移動のサポート トイレへのアクセスが容易になるように、移動経路に手すりを設置し、必要に応じて階段にスロープを取り付けます。
- 照明の改善 トイレへの道のりやトイレ内部に十分な照明を設置し、視認性を向上させます。
3. 家族へのサポートと教育の方法
- 家族への教育
- 排泄ケアの基本技術 排泄ケアに関する基本的な技術や適切なサポート方法を家族に指導します。トイレへの移動を助ける方法や、関節リウマチを考慮した適切な補助具の使用方法を説明します。
- ストレス管理 家族がストレスを管理できるように、リラクゼーション法やタイムマネジメント技術を教え、介護負担を軽減する方法を提案します。
- サポートの提供
- 定期的なコミュニケーション 家族と定期的に連絡を取り、利用者Oのケアプランの進捗状況を確認し、問題が発生した際に迅速に対応します。
- 地域資源の活用 地域の介護サポートグループや専門家との連携を促進し、必要に応じて外部の支援を紹介します。オンラインサポートグループや相談窓口を利用することで、家族の支援体制を強化します。
解説
この解答例では、利用者Oの認知症と関節リウマチという複合的な健康状態に対応するための排泄ケアプラン、自宅環境の改善策、および家族へのサポートと教育の方法を具体的に示しています。これにより、利用者Oの生活の質を向上させるとともに、家族の介護負担を軽減するための実践的なアプローチが提供されています。