記述式ケース問題20 76歳・女性、軽度の認知症と慢性腰痛、排泄のタイミングや場所不案内

排泄ケア相談員・シニアコース・記述式問題

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ケース20  利用者M76歳・女性)

利用者Mは、軽度の認知症と慢性腰痛を抱えています。以下の問題があります

  • 排泄パターンの変化  認知症の進行により、排泄のタイミングや場所を忘れることが増えてきました。これにより、事故や不快感が増しています。
  • 腰痛による排泄困難  慢性腰痛のため、トイレの利用が痛みを引き起こし、長時間座ることが困難です。
  • 精神的なストレス  認知症による混乱や不安が、排泄に対する不安感やストレスを増加させています。

このケースに対して、以下の点についてアドバイスを記述してください。

質問

  1. 認知症による排泄のタイミングや場所の忘却に対する対策として、どのような支援を提供しますか?
  2. 慢性腰痛による排泄困難に対して、どのようにケアを調整し、痛みを最小限に抑えることができますか?
  3. 認知症による精神的ストレスを軽減し、排泄ケアを安定させるために、どのような環境調整や心理的支援が考えられますか?

解答例


1. 認知症による排泄のタイミングや場所の忘却に対する対策

  • 排泄習慣のリマインダー
    • 視覚的な手掛かりの提供  トイレの前に「トイレの時間です」といったメモやサインを掲示することで、排泄のタイミングを思い出させる工夫をします。これにより、利用者が自発的にトイレに行くことを促します。
    • 定期的なトイレ誘導  利用者の状態に応じて、一定の間隔で介助者がトイレに誘導するルーチンを設け、忘却を防ぎます。
  • 記憶支援ツールの導入
    • 簡単なスケジュール表や時計の活用  トイレの時間や排泄に関連する日常的なスケジュールを視覚的に示すために、見やすいスケジュール表や時計を用意し、利用者が自分で確認できるようにします。

2. 慢性腰痛による排泄困難に対するケアの調整

  • 快適なトイレ環境の提供
    • サポート用具の導入  トイレに手すりを取り付けたり、座面の高さを調整できるトイレ用椅子を使用することで、腰痛を和らげながら排泄ができるようにします。
    • クッションの使用  腰の痛みを軽減するために、トイレに座る際に使用するクッションを導入し、痛みを和らげます。
  • 排泄時の姿勢調整
    • 座位の工夫  長時間座ることが困難な場合には、短時間での排泄を促す方法を検討し、利用者が痛みを感じにくい姿勢を見つけるための支援を行います。

3. 認知症による精神的ストレスの軽減

  • 安心感を与える環境整備
    • 安定したルーチンの確立  日常生活における一定のルーチンを確立し、利用者が予測可能な生活を送れるようにします。これにより、不安やストレスを軽減することができます。
    • 心地よい環境の提供  トイレの環境を快適に保つために、清潔さや香りに配慮し、利用者がリラックスできるような環境作りを心掛けます。
  • 心理的なサポート
    • 会話とリラクゼーション  利用者との会話やリラクゼーション活動を通じて、ストレスや不安を和らげるよう努めます。認知症の進行に応じた対応を行い、利用者が安心感を持てるように支援します。

解説

この解答例では、認知症による排泄パターンの変化、慢性腰痛による排泄困難、そして精神的なストレスに対して、多角的なアプローチを提供しています。認知症の影響を考慮し、視覚的な手掛かりや定期的なサポートを提案し、腰痛による体力的な負担を軽減するための環境調整を行います。また、精神的なストレスを軽減するための心理的サポートと環境整備に焦点を当て、利用者の生活の質を向上させる方法を示しています。


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