記述式ケース問題15 85歳・男性、パーキンソン病と糖尿病、排泄感覚なし、頻尿
排泄ケア相談員・シニアコース・記述式問題
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ケース15 利用者T(85歳・男性)
利用者Tは、進行したパーキンソン病と糖尿病を抱えており、最近排泄に関する問題が顕著になっています。具体的な問題は以下の通りです
- パーキンソン病による動作の遅延 利用者Tは動作が遅く、トイレに間に合わないことが多くなっています。特に、排尿や排便の感覚が鈍くなり、漏れやすくなっています。
- 糖尿病による頻尿と排尿困難 糖尿病による頻尿や夜間のトイレの回数が増え、特に夜間の尿意に対処することが困難です。
- 精神的な不安とストレス 排泄問題が精神的な不安を引き起こしており、社会的な孤立感や自尊心の低下も見られます。
このケースに対して、以下の点についてアドバイスを記述してください。
質問
- 利用者Tのパーキンソン病と糖尿病を考慮した排泄ケアプランを提案してください。
- 利用者Tの自宅環境を改善するための具体的な設備や改修案を示してください。
- 利用者Tの精神的な不安を軽減するための支援方法と家族へのアドバイスを述べてください。
解答例
1. 利用者Tのパーキンソン病と糖尿病を考慮した排泄ケアプラン
- パーキンソン病の管理
- トイレへのアクセスの改善 トイレへの動線を確保し、手すりや滑り止めマットを設置することで、安全にトイレまでの移動を支援します。
- 排尿・排便のスケジュール設定 定期的な排泄スケジュールを設け、利用者Tがトイレに行くタイミングを予測しやすくします。例えば、3~4時間ごとにトイレに行くよう促します。
- 動作支援 トイレでの動作が遅くなることを考慮し、立ち上がりや座る動作を補助するための補助具を使用します(例
高さ調整可能な便座、便座手すりなど)。
- 糖尿病の管理
- 頻尿への対処 夜間の頻尿に対処するため、夜間用の尿器やポータブルトイレを導入し、利用者Tが簡単に使用できるようにします。
- 糖尿病管理 血糖値を適切に管理するため、食事の改善とともに、専門医と連携して糖尿病治療の調整を行います。これにより、頻尿の症状を軽減する可能性があります。
2. 利用者Tの自宅環境を改善するための設備や改修案
- トイレ環境の改修
- 手すりの設置 トイレの入り口や便座周辺に手すりを取り付け、移動のサポートを行います。特に、便座の立ち上がりや座り降りの際に支援が必要です。
- 便座の高さ調整 高さ調節が可能な便座を設置し、座りやすく立ち上がりやすい環境を整えます。
- 夜間の照明 夜間のトイレ使用を安全にするため、夜間でも明るいトイレの照明を設置します。センサーライトなど、手間をかけずに明かりが点くものが推奨されます。
- 家全体の改修
- 滑り止めマットの敷設 トイレまでの道のりに滑り止めマットを敷き、転倒のリスクを軽減します。
- 移動補助具の導入 歩行器や杖など、移動を助けるための補助具を設置し、トイレへのアクセスを安全にします。
3. 利用者Tの精神的な不安を軽減するための支援方法と家族へのアドバイス
- 精神的な支援
- カウンセリングの提供 利用者Tに対してカウンセリングや心理的支援を提供し、排泄に対する不安やストレスを軽減する方法を提案します。
- 社会的なサポート 社会的な孤立感を軽減するため、地域のサポートグループやコミュニティ活動への参加を促します。
- 家族へのアドバイス
- 教育と訓練 家族に対して、パーキンソン病や糖尿病による排泄問題の理解を深めるための教育を行います。また、適切な介護技術やトイレ環境の整備についても訓練を行います。
- 感情的サポート 家族が感情的なサポートを行えるように、ストレス管理や効果的なコミュニケーション技術についてアドバイスを行います。
- 定期的なフォローアップ 利用者Tのケアプランと環境の改善状況を定期的に確認し、必要に応じて調整や追加の支援を行います。
解説
この解答例では、利用者Tのパーキンソン病と糖尿病に基づいた排泄ケアプラン、自宅環境の改善策、精神的な支援方法と家族へのアドバイスが具体的に示されています。これにより、利用者Tの生活の質を向上させるための実践的なアプローチが提供され、複合的な問題に対する包括的なケアが可能になります。