記述式ケース問題9 68歳・女性、退院後の自宅療養、脳卒中後遺症で右半身に麻痺、トイレ使用が困難

排泄ケア相談員・シニアコース・記述式問題

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ケース9  利用者L68歳・女性)

利用者Lは、退院後の自宅療養をしており、脳卒中の後遺症で右半身に麻痺があります。排泄に関しては、右手の使用が難しく、自力でのトイレの移動や使用が困難です。また、利用者Lは軽度の認知症を併発しており、トイレの使い方に対する理解が不十分です。家族はフルタイムで働いており、訪問介護は週に2回提供されていますが、夜間や日中の排泄ケアが不足している状況です。最近は、尿漏れや便秘の問題が悪化しており、利用者Lは不快感とストレスを感じています。

質問

  1. 利用者Lの排泄ケアを改善するための具体的な提案をしてください。
  2. 利用者Lの家族に対して、ケアの負担を軽減するためのサポートやアドバイスを提供してください。
  3. 利用者Lの精神的ケアを含め、介護スタッフに対する指導内容を述べてください。

解答例


1. 利用者Lの排泄ケアを改善するための具体的な提案

  • トイレの環境整備
    トイレの安全性を高めるために、手すりや歩行補助具を設置し、利用者Lがトイレを使用しやすくします。また、トイレまでの移動をサポートするために、家の中にスロープや滑り止めマットを設置することを提案します。
  • 適切な排泄用具の選定
    尿漏れや便秘の問題に対応するために、高吸収性の尿取りパッドやおむつを使用することを検討します。また、便秘対策として、便秘解消に効果的な食事や薬の使用を考慮し、医師と相談して適切な治療法を決定します。
  • トイレのサポート
    トイレに自力で移動するのが難しい場合には、トイレ用の移動支援具(ポータブルトイレや昇降便座など)を導入することを提案します。また、定期的にトイレ誘導を行い、排尿・排便のタイミングを管理します。
  • 認知症に対応したケア
    認知症の影響でトイレの使い方に理解が不十分な場合は、視覚的なサインや指示を用意し、トイレの使い方を分かりやすくします。また、介護スタッフが利用者Lにトイレの使い方を説明し、適切なタイミングでの誘導を行います。

2. 利用者Lの家族に対してのサポートやアドバイス

  • 夜間ケアの強化
    家族の負担を軽減するために、夜間の訪問介護サービスを増やすことを検討します。また、地域の夜間見守りサービスやホームヘルパーの利用を提案し、夜間のケアをサポートします。
  • 介護者支援
    家族が介護に必要な知識と技術を身につけるためのトレーニングや教育を提供します。具体的には、排泄ケアの基本や、便秘や尿漏れに対する対処法を学ぶことで、家族の負担を軽減します。
  • 役割分担とサポート
    家族の役割分担を見直し、フルタイムで働いている家族が負担を軽減できるように調整します。可能であれば、親族や友人のサポートを求め、介護の負担を分担します。

3. 利用者Lの精神的ケアを含め、介護スタッフに対する指導内容

  • 感情的なサポートの提供
    介護スタッフは、利用者Lの不安感やストレスを軽減するために、優しく共感的な対応を心がけます。具体的には、安心感を与える言葉かけや、トイレの使用時にリラックスできるようにサポートします。
  • 一貫したケアの提供
    同じスタッフが担当することで、一貫したケアを提供し、利用者Lの安心感を高めます。また、スタッフ間での情報共有を行い、利用者Lの状態に応じた適切なケアを実施します。
  • ケア計画の見直しと調整
    利用者Lの状態や反応に応じて、排泄ケアの計画を定期的に見直し、必要に応じて調整します。スタッフは、利用者Lのニーズに柔軟に対応し、ケアの質を向上させるよう努めます。
  • ストレス管理のサポート
    スタッフ自身がストレスを管理し、自己ケアを行うことを奨励します。また、定期的なチームミーティングやサポートを通じて、スタッフのメンタルヘルスをサポートする方法を提供します。

解説

この解答例では、利用者Lの排泄ケアを改善するための具体的な提案、家族へのサポート方法、そして介護スタッフへの指導内容を包括的に示しています。これにより、利用者Lが快適に過ごせるようにするための全体的なアプローチを提供し、家族や介護スタッフの負担を軽減し、ケアの質を向上させる方法を提案しています。


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