記述式ケース問題16 72歳・女性、軽度の認知症と慢性的な便秘で腹痛
排泄ケア相談員・シニアコース・記述式問題
⇒※排泄ケア相談員については、家庭の排泄ケア相談所のWEBを参照ください。 https://www.sutokukai.or.jp/cssc/about/haisetsu.html
ケース16 利用者K(72歳・女性)
利用者Kは、軽度の認知症と慢性的な便秘を抱えており、自宅での生活を続けています。最近、以下のような排泄に関する問題が発生しています
- 認知症による排泄の管理の困難 利用者Kは、トイレに行く時間や便意の感覚を忘れてしまうことが多く、排泄が遅れることがしばしばあります。
- 慢性的な便秘 便秘のため、腹部の不快感や腹痛があり、また、便のコントロールが難しくなっています。
- 自宅でのサポートの限界 家族は利用者Kの排泄ケアに対して適切な知識や支援方法が不足しており、どのようにサポートすればよいか困っています。
このケースに対して、以下の点についてアドバイスを記述してください。
質問
- 利用者Kの認知症と慢性的な便秘を考慮した排泄ケアプランを提案してください。
- 利用者Kの自宅環境を改善するための具体的な設備や改修案を示してください。
- 利用者Kの家族に対して、排泄ケアの知識や支援方法についてのアドバイスを述べてください。
解答例
1. 利用者Kの認知症と慢性的な便秘を考慮した排泄ケアプラン
- 認知症への対策
- 排泄スケジュールの導入 定期的な排泄スケジュールを設定し、利用者Kにトイレに行く時間をリマインダーで知らせます。例えば、2~3時間ごとにトイレに行くよう促すことで、排泄のタイミングをつかみやすくします。
- 視覚的なサインの設置 トイレの近くに「トイレに行こう」のサインやピクトグラムを貼り、トイレに行く必要性を視覚的に認識させる工夫をします。
- サポートスタッフの活用 ケアスタッフが定期的に訪問し、トイレに行くよう促すなどの支援を行います。また、排泄に関する気付きが難しい場合は、サポートスタッフが直接介入することも検討します。
- 便秘の管理
- 食事の改善 食物繊維を豊富に含む食事を提供し、便秘の予防に努めます。野菜や果物、全粒穀物などを積極的に取り入れるようにします。
- 水分摂取の推奨 十分な水分摂取を促し、便の硬化を防ぎます。特に、毎日の水分摂取量を確認し、必要に応じて補助的な水分補給を行います。
- 軽度の運動 安全に実施できる範囲で、軽い体操や散歩を取り入れることで、腸の活動を促進します。
2. 利用者Kの自宅環境を改善するための設備や改修案
- トイレ環境の改修
- トイレの見やすいサイン トイレのドアや周囲に視覚的なサイン(例 「トイレ」)を貼り、認知症の利用者がトイレの場所を見つけやすくします。
- 便座の補助具 高さ調節可能な便座や便座に取り付ける手すりを設置し、便座に座る際の安全性を高めます。
- 滑り止めマットの設置 トイレまでの移動の際に滑らないよう、トイレ周辺や通路に滑り止めマットを敷きます。
- 家全体の改修
- トイレへのアクセス改善 トイレまでの通路を広げ、障害物を取り除くことで、安全に移動できるようにします。
- 夜間の照明 夜間用のセンサーライトをトイレ付近に設置し、夜間でも安全にトイレにアクセスできるようにします。
3. 利用者Kの家族に対してのアドバイス
- 排泄ケアの知識提供
- 教育と訓練 排泄ケアに関する基本的な知識を家族に提供し、認知症と便秘に対する理解を深めるための研修や資料を提供します。
- 排泄スケジュールの設定と実行 家族と協力して、排泄スケジュールを設定し、それを実行するための方法や注意点について指導します。
- 支援方法の提案
- リマインダーとサポート 家族がリマインダー機能を活用して、利用者Kにトイレの時間を思い出させる方法を提案します。また、家族がトイレへの誘導やサポートを行う際の具体的なアプローチについてもアドバイスを行います。
- メンタルサポート 家族自身がストレスや負担を感じることもあるため、適切なサポートを得るためのリソース(例
サポートグループやカウンセリング)についても情報提供を行います。
解説
この解答例では、利用者Kの認知症と便秘に基づいた排泄ケアプラン、自宅環境の改善案、家族への具体的なアドバイスが示されています。これにより、利用者Kの生活の質を向上させるための包括的なケアが提供され、家族と連携して効果的なサポートが可能になります。