記述式ケース問題12 76歳・女性、軽度の認知症と中等度の関節リウマチ、排泄のタイミングや場所

排泄ケア相談員・シニアコース・記述式問題

⇒※排泄ケア相談員については、家庭の排泄ケア相談所のWEBを参照ください。 https://www.sutokukai.or.jp/cssc/about/haisetsu.html

ケース12  利用者M76歳・女性)

利用者Mは、軽度の認知症と中等度の関節リウマチを抱えており、これにより排尿と排便の管理に困難を感じています。認知症の影響で、排泄のタイミングを忘れたり、トイレの場所が分からなくなったりすることがあります。また、関節リウマチの影響で、トイレの利用や自分での身体の動かし方に制限があります。利用者Mは自宅での生活を続けており、家族はフルタイムで働いているため、訪問介護サービスに依存しています。

最近、利用者Mは、排尿の頻度が増え、夜間頻尿による睡眠の質の低下と、便秘による腹部の不快感を訴えています。家族は、トイレの取り扱いや排泄ケアについての具体的なアドバイスが必要としています。また、家族が介護負担を軽減しながら、利用者Mの生活の質を向上させる方法についても考えたいと考えています。

質問

  1. 利用者Mの排泄ケアにおける問題を効果的に解決するための具体的な対策を提案してください。
  2. 利用者Mの家庭環境を改善するために、どのような設備やサービスを導入すべきかを説明してください。
  3. 利用者Mのケアをサポートするための家族への教育や支援の方法を述べてください。

解答例


1. 利用者Mの排泄ケアにおける問題を効果的に解決するための具体的な対策

  • 頻尿の管理
    • 排尿スケジュールの設定  定期的なトイレのスケジュールを設定し、利用者Mにリマインダーやアラームを使用して、トイレに行くタイミングを通知します。
    • 水分摂取の調整  夜間頻尿の原因として、就寝前の過剰な水分摂取が考えられるため、就寝前の水分摂取を制限し、昼間の水分摂取を増やすことを推奨します。
  • 便秘の対策
    • 食事と水分摂取の見直し  食物繊維が豊富な食事を提供し、十分な水分摂取を促進します。便通を改善するための食材やレシピを提供します。
    • 軽度の運動  関節に負担をかけない軽度の運動(例  ベッド上での脚の運動や手足のストレッチ)を取り入れることで、腸の動きを促進します。
  • 認知症の影響への対応
    • トイレの識別方法  トイレの場所が分からないことに対処するため、目立つ色や簡単なサインを用いてトイレの位置を識別しやすくします。
    • ナースコールシステム  ナースコールや通報機能を使い、利用者Mがトイレに行きたくなったときに簡単に支援を求められるようにします。

2. 利用者Mの家庭環境を改善するために、導入すべき設備やサービス

  • 排泄支援用具の導入
    • 調整可能なトイレ設備  トイレの高さを調整できる便座や、立ち上がりをサポートするための手すりを設置します。また、トイレに近い位置に非常呼び出しボタンを設置します。
    • 可動式手すり  トイレ内や移動経路に、利用者Mの身体に合わせた可動式の手すりを設置し、安全性を高めます。
  • 居宅訪問サービスの強化
    • 訪問介護サービスの頻度増加  排泄ケアの頻度を増やし、必要に応じて夜間の訪問サービスを検討します。これにより、夜間頻尿や便秘の管理を強化します。
    • 緊急対応のサポート  24時間対応の緊急サポートサービスを導入し、利用者Mがトイレでの問題や緊急時にすぐに対応できる体制を整えます。

3. 利用者Mのケアをサポートするための家族への教育や支援の方法

  • 家族への教育
    • 排泄ケアの実践的な指導  排泄ケアの基本技術や、トイレの位置付け、夜間の対策について家族に具体的な指導を行います。介護の際に注意すべきポイントや、日常的なケアの手順を説明します。
    • ストレス管理の教育  家族が介護のストレスを管理する方法についてアドバイスし、ストレスを軽減するためのリラクゼーションテクニックやサポートグループの利用を推奨します。
  • サポートとフォローアップ
    • 定期的なフォローアップ  家族との定期的な相談を行い、利用者Mの状態に応じたケアの調整や問題解決のサポートを提供します。オンラインや電話でのフォローアップも利用します。
    • 介護負担の軽減  家族が介護負担を軽減できるように、地域の介護支援サービスやレスパイトケア(短期入所)を提案し、家族のリフレッシュをサポートします。

解説

この解答例では、利用者Mの複雑な健康状態に対応するための具体的な排泄ケアの改善策、家庭環境の改善に向けた設備やサービスの提案、そして家族への教育と支援の方法を包括的に示しています。これにより、利用者Mの生活の質を向上させ、家族の介護負担を軽減し、ケアの質を向上させる方法を提供しています。


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