記述式ケース問題4 75歳・女性、腰椎圧迫骨折の後遺症で歩行困難、便失禁、尿失禁
排泄ケア相談員・シニアコース・記述式問題
⇒※排泄ケア相談員については、家庭の排泄ケア相談所のWEBを参照ください。 https://www.sutokukai.or.jp/cssc/about/haisetsu.html
ケース4 利用者G(75歳・女性)
利用者Gは、腰椎圧迫骨折の後遺症で歩行が困難で、在宅で夫と二人三脚で生活しています。利用者Gは尿失禁と便失禁の問題を抱えており、特に夜間に頻繁に失禁するため、夜間用のおむつを使用しています。日中はトイレに行きたいと思っているものの、歩行の難しさからトイレに行くことが困難です。夫は高齢で体力的に支援が難しく、ケアの負担を感じています。
質問
- 利用者Gの排泄ケアを改善し、日中のトイレ利用を促進するための具体的な提案をしてください。
- 利用者Gの夫がケアの負担を軽減できるよう、どのような支援やアドバイスを提供すべきか説明してください。
- 利用者Gの心理的ケアやプライバシーを尊重するために、介護スタッフにどのような指導を行うべきか述べてください。
解答例
1. 利用者Gの日中のトイレ利用を促進するための具体的な提案
- 移動補助具の導入
利用者Gが自力でトイレに行けるように、歩行器や歩行補助具を使用することを提案します。歩行器には安定性を高めるためのアクセサリー(例えば、ブレーキ付きの車輪)が付いているものもあるため、安全に利用できるように配慮します。 - トイレまでの安全な環境の整備
トイレまでのルートに手すりを取り付け、滑り止めマットを敷くことで転倒のリスクを減少させます。また、利用者Gがトイレに行く際のサポートをスムーズにするために、トイレの入り口に視覚的な指示を掲示することを考えます。 - 定期的なトイレ誘導
日中のトイレ利用を促進するために、利用者Gの排泄リズムに合わせて定期的にトイレに誘導することが有効です。例えば、食後や水分摂取後に定期的にトイレに誘導することで、尿意や便意を感じたときにトイレに行く機会を増やします。 - 介助の強化
必要に応じて、家族や介護スタッフによる介助を行うことで、安全にトイレに行けるようにします。例えば、トイレの際に手を貸したり、車椅子を使って移動する方法も考慮します。
2. 利用者Gの夫への支援やアドバイス
- 在宅介護サービスの利用
利用者Gの夫が身体的・精神的な負担を軽減できるように、訪問介護サービスやデイサービスを利用することを提案します。専門の介護スタッフが定期的に訪問し、トイレの介助や排泄ケアをサポートすることで、夫の負担を軽減します。 - 介護の役割分担の調整
夫がケアに関する負担を軽減できるよう、家族全体での役割分担を再評価し、他の家族メンバーが定期的に支援できるようにします。例えば、週に一度の介護支援を他の家族が担当することで、夫の負担を分散します。 - ケア者の健康とサポート
夫が自身の健康を維持するためのアドバイスを行います。介護者向けのサポートグループやカウンセリングを活用し、精神的なサポートやストレス解消のための方法を提案します。
3. 利用者Gへの心理的ケアやプライバシーの尊重についての介護スタッフへの指導
- プライバシーの尊重
介護スタッフは、利用者Gのプライバシーを尊重し、トイレに行く際には十分に配慮した対応を心がけることが重要です。トイレのドアを閉める、カーテンを引くなどの方法で、利用者Gのプライバシーを守るよう指導します。 - 心理的サポートの提供
利用者Gが排泄ケアに対してストレスや不安を感じないように、スタッフは温かく配慮ある言葉かけを行います。例えば、トイレに行く際のサポートや励ましを通じて、安心感を提供し、利用者Gが気持ちよくケアを受けられるようにします。 - 一貫したケアの実施
利用者Gに対するケアは、一貫して実施することが大切です。スタッフは、利用者Gの状態や要求に応じて、ケアプランを適切に調整し、安定したケアを提供するよう指導します。また、スタッフ同士で情報共有を行い、ケアの質を保つことも重要です。
解説
この解答例では、利用者Gの身体的・精神的状態を考慮し、具体的な改善策やサポート方法を提案しています。日中のトイレ利用を安全にするための環境整備や補助具の使用、家族の負担軽減のための支援策、そしてプライバシーと心理的ケアを尊重した介護の指導を行っています。これにより、利用者Gとその家族にとって、より質の高い排泄ケアを提供するための総合的なアプローチを示しています。