記述式ケース問題36 75歳女性。アルツハイマー型認知症の診断を受けており、最近は暴力的な行動や暴言が増加している。
⇒※排泄ケア相談員については、家庭の排泄ケア相談所のWEBを参照ください。 https://www.sutokukai.or.jp/cssc/about/haisetsu.html
症例36
- 患者情報 75歳女性。アルツハイマー型認知症の診断を受けており、最近は暴力的な行動や暴言が増加している。介護者によるトイレ誘導に対し、強い拒否を示し、怒りを表すことが多い。排泄の管理が困難で、失禁が続いている。トイレに行かせると、しばしば暴力的な言動を取るため、介護者は心理的にストレスを感じている。
質問
この患者に対して、経過観察を行いながら継続的な排泄ケアに関する相談支援計画書を作成してください。具体的には、初回アドバイス、1週間後の経過観察後のアドバイス、2週間後の再評価後のアドバイスをそれぞれまとめてください。
解答例
相談支援計画書
患者情報
- 名前 佐藤花子
- 年齢 75歳
- 診断 アルツハイマー型認知症
- 主な問題 暴力的行動、暴言、トイレ誘導の拒否、失禁
目標
- 患者が安心してトイレに行ける環境を整える。
- 介護者がストレスを軽減できるような支援を行う。
- トイレ誘導の成功率を向上させる。
初回アドバイス(1日目)
- 環境の整備
- トイレへの道を明るくし、障害物を取り除く。
- トイレの内装を見やすい色に変更し、認識を助ける。
- コミュニケーションの工夫
- 非言語的コミュニケーションを使用。優しいトーンで声をかけ、患者の目を見て接する。
- トイレ誘導の際には、強い言葉を使わず、穏やかに話しかける。
- 共感と感情の理解
- 患者の不安や恐れに対して共感を示し、「今、何か不安なことがあるのかな?」と尋ねる。
- 患者が暴言を吐いた場合は、その気持ちを受け止める姿勢を持つ。
1週間後の経過観察後のアドバイス(7日目)
- 経過の評価
- 患者の状態を観察し、暴力的な反応の頻度やトイレ誘導の成功率を記録する。
- 成功体験の強調
- トイレ誘導に対して少しでも動いた場合、その行動を褒める。「今日はトイレに近づけたね」と言い、成功体験を強調する。
- リラクゼーション技法の導入
- 深呼吸や軽いストレッチを行うことで、リラックスした状態でトイレ誘導に向かえるようにする。
- 介護者のサポート
- 介護者へのストレス管理のため、定期的な相談の時間を設ける。
2週間後の再評価後のアドバイス(14日目)
- 再評価の結果
- 患者の暴力的な言動が依然として見られるが、トイレ誘導の成功率が少し上昇している。
- 選択肢を与える
- トイレ誘導の際に選択肢を与え、患者が自分の意思で決定できる感覚を持てるようにする。「今、トイレに行くか、それとも少し後にするか、どちらがいい?」と尋ねる。
- 暴力的行動への対策
- 暴力的な行動が見られた場合、その場から離れることを検討し、冷静になれる時間を持つ。
- 介護者のサポートの強化
- 介護者に対して、ストレス管理の技術や対処法を共有し、感情的なサポートを行う。定期的なミーティングを設け、進捗状況や困難な状況を共有することで、チーム全体での取り組みを強化する。
解説
この相談支援計画書は、暴力や暴言を示す患者に対し、環境を整え、心理的なアプローチを通じて排泄ケアの質を向上させることを目指しています。経過観察を行い、柔軟に対応することで、患者の反応を観察し、徐々にトイレ誘導を進めていくことが重要です。