記述式ケース問題32 70歳男性、脊髄損傷のため寝たきりの状態
排泄ケア相談員・シニアコース・記述式問題
⇒※排泄ケア相談員については、家庭の排泄ケア相談所のWEBを参照ください。 https://www.sutokukai.or.jp/cssc/about/haisetsu.html
ケース32 患者Aさんの情報を次に示します。
患者情報 70歳男性、脊髄損傷のため寝たきりの状態。排泄に関しては完全介助が必要で、コミュニケーション能力はあるが、身体を動かすことはできない。在宅での生活を維持し、快適な生活を送るための支援計画が求められている。
質問
この患者に対して、経過観察を行いながら排泄ケアの支援計画書を作成してください。以下の点を含めてください。
- 初回から短期的および長期的な目標を設定してください。
- 在宅介護者と当事者の今後が見通せるようなアドバイス内容を示してください。
- 社会資源を有効活用するための提案をしてください。
- SWOT分析とクロスSWOT分析を行い、支援計画を策定してください。
- BSC(バランススコアカード)とKPI(重要業績評価指標)を用いて進捗状況を求める形式でまとめてください。
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解答例
1.
短期的目標 (1〜3ヶ月)
- 目標1 患者の排泄リズムを把握し、排泄時期を予測できるようにする。
- 目標2 介護者が排泄ケアの基本的な手技を習得し、自信を持って実施できるようにする。
- 目標3 患者の快適さを確保するため、排泄ケアに使用する用具や環境を整備する。
2.
長期的目標 (6ヶ月〜1年)
- 目標1 患者が排泄のタイミングを理解し、介護者にそれを伝えることができるようになる。
- 目標2 介護者が定期的に専門家からのアドバイスを受け、スキルを向上させる。
- 目標3 地域の福祉資源を活用し、定期的な訪問介護サービスを受けられる体制を整える。
3.
アドバイス内容
- 介護者へのアドバイス
- 「患者の排泄のサインを注意深く観察し、トイレへの移動がスムーズに行えるように、日常生活の中でリズムをつけていきましょう。排泄用具や環境を整え、快適な空間を作ることが大切です。」
- 当事者へのアドバイス
- 「排泄に行きたいと感じたときは、声を出すか、何かの合図をしてください。私たちはあなたをサポートしますので、安心してお知らせください。」
4.
社会資源の有効活用
- 地域の障害者支援センターや訪問介護サービスを利用し、専門家のアドバイスを受ける。
- 地域のボランティアグループや福祉団体と連携し、情報共有を行う。
SWOT分析
強みStrengths(Positive factors) 弱みWeakness(Negative factors)
・介護者の深い理解 ・身体的な制限による自立の困難
・患者がコミュニケーション可能 ・日常生活の不安定さ
クロスSWOT分析
強み (S) × 機会 (O) = S-O戦略
・介護者の理解×福祉資源=福祉資源を利用して、介護者の理解を深めるプログラムに参加する。
・コミュニケーション能力×支援プログラム=地域の支援プログラムに参加し、知識と技術を向上させる。
弱み (W) × 脅威 (T) = W-T戦略
・身体的な制限×介護者の疲弊=定期的に専門家の支援を受け、介護者の負担を軽減する。
・日常生活の不安定さ×環境の変化=環境整備を行い、患者が安心できるような居住空間を提供する。
BSC(バランススコアカード)とKPI
顧客 ・患者の排泄の自立 ・自発的な排泄行為の回数 ・回数 (目標 週2回) ・週1回 ・トイレへの移動の支援を強化する。
財務 ・コスト効率の良い介護 ・福祉資源の利用率 ・利用率 (目標 8割) ・65% ・新たな支援資源の調査を進める。
内部プロセス・排泄ケアの質向上 ・介護者の満足度 ・満足度 (目標 高い) ・中程度 ・定期的な評価とフ ィードバックを実施。
学習/成長 ・介護者のスキル向上 ・研修参加率 ・参加率 (目標 75%) ・50% ・次回研修の日程を 決定。
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解説
この支援計画を通じて、短期的および長期的な目標を明確にし、介護者と当事者が共に成長していく姿を見えるようにすることが重要です。社会資源を有効活用し、SWOT分析を通じて強みを最大限に活かし、課題に取り組むことで、より良い排泄ケアを実現していくことが可能です。