記述式ケース問題24 70代女性、ルビー小体型認知症、、幻覚や混乱が頻、、便秘や頻尿
排泄ケア相談員・シニアコース・記述式問題
⇒※排泄ケア相談員については、家庭の排泄ケア相談所のWEBを参照ください。 https://www.sutokukai.or.jp/cssc/about/haisetsu.html
ケース24 排泄ケアが必要なルビー小体型認知症のアドバイス
70代女性Aさんは、ルビー小体型認知症(LBD)と診断されています。Aさんは初期の段階ではあったものの、最近は幻覚や混乱が頻繁に見られ、特に排泄行為に対する恐怖心や抵抗感が強くなってきました。また、便秘が続き、頻尿の症状が出始めています。自力でトイレに行くことができず、オムツを使用していますが、最近はオムツ交換の際にも協力的でなく、動作が鈍くなり、スキンケアも難航しています。家族も精神的に疲れており、どのようにサポートすべきか悩んでいます。
質問1 排泄ケア相談員として、Aさんの排泄ケアにおける重要なアセスメント項目を挙げ、それに基づいて行うべき適切なケアの提案を行ってください。
質問2 Aさんのケースで特に忘れがちな精神的ケアの重要性について、家族や介護スタッフに対するアドバイスを含めて説明し、どのような心理的支援が有効か記述してください。
質問3 Aさんの排泄ケアにおいて感染管理や皮膚ケアの観点からの対策について、現場で見落としがちな要素を含めた提案を行いなさい。
解答例
質問1の解答
排泄ケア相談員として、Aさんに対するアセスメントの重要な項目は以下の通りです。
- 身体的状態の確認
- パーキンソニズムの進行具合
動作が鈍くなっていることから、筋肉のこわばりや手足の動きに影響が出ている可能性があります。これにより、トイレに行くこと自体が困難であるため、トイレ誘導時に十分なサポートが必要です。
- 便秘や頻尿の原因 自律神経の問題が絡んでいる可能性が高く、適切な水分摂取や食事の調整が必要です。また、医師に相談し、排便促進剤の処方や尿トラブルに対する薬物療法が必要かもしれません。
- 心理的状態の評価
- 幻覚や混乱に対する対策
排泄時に幻覚や混乱が起こっている可能性が高いため、ケアスタッフがAさんの感情を理解し、安心感を与える声かけや環境整備が重要です。
- オムツ選びとスキンケアの工夫
- 適切なオムツの選択 Aさんに合ったサイズや吸水性の高いオムツを選び、皮膚トラブルを避けるためのこまめな交換を行います。皮膚が敏感な場合は、防水性の高いものよりも通気性の良いものを選ぶことが推奨されます。
- スキンケアの徹底 皮膚が乾燥しやすくなるため、毎回の交換時に保湿剤を使用し、特に会陰部の清潔を保ちます。
質問2の解答
精神的ケアはLBDの利用者において非常に重要です。Aさんのケースでは、幻覚や混乱が頻繁に見られるため、排泄時の不安や抵抗感を減らすための心理的支援が必要です。
- 家族へのアドバイス
- 家族には、Aさんの状態を理解し、幻覚や混乱が症状の一環であることを伝えることで、Aさんへの対応に余裕を持たせます。感情的に接するのではなく、穏やかで優しい口調で話しかけることが大切です。
- 「あなたがトイレに行きたいと感じるのは自然なことです。大丈夫、一緒にやりましょう」といった言葉で安心感を与えることが有効です。
- 介護スタッフへのアドバイス
- 介護スタッフもAさんの感情を観察し、排泄時に感じる恐怖心や混乱に寄り添う姿勢が求められます。幻覚がある場合、無理に否定せず、利用者が感じていることを尊重しながら対応することで、安心感を持たせることができます。
質問3の解答
排泄ケアにおいて、感染管理や皮膚ケアの観点からも重要な要素がいくつかあります。
- 感染管理のポイント
- オムツ交換時の手袋の使用や手洗いの徹底は基本ですが、見落とされがちなのは汚れた衣服や寝具の適切な処理です。Aさんのように混乱しやすい利用者の場合、排泄物が意図せず衣服に付着することもあるため、その都度迅速な対応が求められます。また、周囲の環境(トイレやベッド周辺)の清掃と消毒も忘れずに行います。
- 皮膚ケアの観点
- Aさんは動作が鈍くなっており、長時間同じ姿勢を保つことで皮膚が圧迫されやすくなります。これにより、褥瘡のリスクが高まるため、オムツ交換時には体位変換も行い、長時間同じ体勢を避けることが重要です。また、こまめなスキンケアと清潔保持が、皮膚トラブルの予防に役立ちます。
解説
これらの設問と解答例を通じて、ルビー小体型認知症の利用者に対する排泄ケアにおいて、身体的・精神的なケアの両方を統合的に提供するための知識と判断力を養うことができます。