記述式ケース問題37 80歳男性。アルツハイマー型認知症を患っており、頻繁に徘徊をし、帰宅願望が強い。
排泄ケア相談員・シニアコース・記述式問題
⇒※排泄ケア相談員については、家庭の排泄ケア相談所のWEBを参照ください。 https://www.sutokukai.or.jp/cssc/about/haisetsu.html
症例37
- 患者情報 80歳男性。アルツハイマー型認知症を患っており、頻繁に徘徊をし、帰宅願望が強い。トイレ誘導の際に「帰りたい」と訴え、介護者の手を振り払うことが多く、排泄ケアが困難な状況である。失禁のため、皮膚の状態にも影響が出ている。
設問内容
この患者に対して、経過観察を行いながら継続的な排泄ケアに関する相談支援計画書を作成してください。具体的には、初回アドバイス、1週間後の経過観察後のアドバイス、2週間後の再評価後のアドバイスをそれぞれまとめてください。
模範的な解答例
相談支援計画書
患者情報
- 名前 田〇太〇
- 年齢 80歳
- 診断 アルツハイマー型認知症
- 主な問題 徘徊、帰宅願望、トイレ誘導の拒否、失禁
目標
- 患者が安心してトイレに行ける環境を整える。
- 徘徊を抑制し、トイレ誘導の成功率を向上させる。
- 失禁による皮膚のトラブルを防ぐ。
初回アドバイス(1日目)
- 環境の整備
- トイレへの道を明るくし、視認性を高める。目立つサインやマークを使用してトイレの場所を明示する。
- トイレ内の清掃や衛生管理を徹底し、患者が快適に使用できる環境を整える。
- コミュニケーションの工夫
- 患者に対して、「今はトイレに行く時間だよ」と穏やかに声をかけ、心理的な安心感を与える。
- 患者の帰宅願望に対して共感し、「少しだけトイレに行って、また戻ってくるから」と約束する。
- スケジュールの設定
- トイレ誘導の時間を決め、定期的に声をかける。例えば、30分ごとにトイレへ誘導する。
1週間後の経過観察後のアドバイス(7日目)
- 経過の評価
- 患者のトイレ誘導の成功率と徘徊の頻度を記録し、変化を把握する。
- 成功体験の強調
- トイレ誘導が成功した場合、すぐに褒める。「よくできたね!トイレに行けてよかったね」と声をかけることで、ポジティブな体験を強調する。
- 帰宅願望の理解
- 患者が「帰りたい」と言った場合、「お家のことを思い出しているのね。後で帰れるから、今は少しだけトイレに行こう」と柔らかく対応する。
- 身体のサポート
- トイレ誘導時には、患者の体を支えるために介護者がしっかりとしたサポートを行う。必要に応じて、歩行補助具を使用する。
2週間後の再評価後のアドバイス(14日目)
- 再評価の結果
- 患者のトイレ誘導の成功率が若干向上し、徘徊の頻度も減少している場合、これを確認する。
- 選択肢の提示
- トイレ誘導の際、患者に「今、トイレに行くか、少し待つか、どちらがいい?」と選択肢を与える。これにより、自分の意思で行動できる感覚を持たせる。
- リラクゼーション技法の導入
- トイレ誘導の前に短い深呼吸を行うことを提案し、リラックスした状態でトイレに行けるようにする。
- 介護者へのサポート
- 介護者に対して、感情的なサポートやストレス管理の技術を共有し、必要に応じて専門家の支援を勧める。
解説
この相談支援計画書は、徘徊や帰宅願望を示す患者に対し、環境を整え、心理的なアプローチを通じて排泄ケアの質を向上させることを目指しています。経過観察を行い、柔軟に対応することで、患者の反応を観察し、徐々にトイレ誘導を進めていくことが重要です。