記述式ケース問題33 85歳のBさんは、レビー小体型認知症を患っており、パーキンソン症状と幻視が見られることが特徴

排泄ケア相談員・シニアコース・記述式問題

ケース33

85歳のBさんは、レビー小体型認知症を患っており、パーキンソン症状と幻視が見られることが特徴です。Bさんは日中にトイレへ行く際、トイレの前で戸惑い、入るのをためらうことがあります。また、トイレの中で幻視により混乱し、「誰かがいる」と思い込み、排泄行為を途中でやめてしまうこともあります。

夜間には頻尿があり、ベッドからトイレまでの移動に時間がかかり、間に合わないことが増えています。加えて、レビー小体型認知症の症状である運動機能の低下により、トイレでの立ち上がりや排泄後の処理にも苦労しています。Bさんは自分が失敗することを恥じており、家族に対して「迷惑をかけて申し訳ない」と頻繁に口にします。家族もBさんの尊厳を守りながら、排泄ケアの改善を模索しています。

設問

  1. Bさんがトイレの前で戸惑い、トイレに入ることをためらう場合、どのような環境的・心理的なサポートが有効でしょうか?具体的なアドバイスをしてください。
  2. Bさんが夜間に頻尿のためトイレに間に合わない状況に対して、家族や介護者はどのような支援ができるでしょうか?移動をサポートするための具体策を含めて提案してください。
  3. Bさんが「誰かがいる」と幻視を見て排泄行為を中断する場合、介護スタッフはどのような対応をすべきでしょうか?レビー小体型認知症の特性を踏まえた対応を提案してください。
  4. Bさんの自尊心を傷つけずに、失敗を減らすために家族はどのような支援ができるでしょうか?心理的サポートとケア方法を交えたアドバイスをしてください。

解答例

設問1  Bさんがトイレの前で戸惑い、トイレに入ることをためらう場合、どのような環境的・心理的なサポートが有効でしょうか?具体的なアドバイスをしてください。

解答例

レビー小体型認知症では、幻視や混乱が原因で環境認識に問題が生じやすいため、トイレに入る際のサポートが重要です。次の対策が有効です。

  • トイレの見やすさの向上 トイレのドアや周辺を目立つ色にし、Bさんが迷わずトイレを認識できるようにします。また、ドアを開けておき、内部が見えるようにすると安心感が増します。
  • 心理的な安心感を提供 Bさんが戸惑う時には、落ち着いた声で「大丈夫ですよ、ここはあなたのトイレです」と優しく声掛けし、安心感を与えることが重要です。介助者がそばにいると感じられることで、不安が軽減され、トイレに入る抵抗感が少なくなります。

設問2  Bさんが夜間に頻尿のためトイレに間に合わない状況に対して、家族や介護者はどのような支援ができるでしょうか?移動をサポートするための具体策を含めて提案してください。

解答例

夜間の頻尿に対する支援として、以下の具体策が考えられます。

  • ポータブルトイレの設置 Bさんのベッドの近くにポータブルトイレを置き、移動の手間を減らすことで、夜間の失敗を防ぎます。これにより、移動時間が短縮され、間に合わない状況を改善できます。
  • 移動補助具の活用 トイレへの移動を助けるため、手すりや歩行器を設置し、Bさんが安全かつスムーズに移動できるようにします。特に夜間は転倒リスクが高いため、移動経路の照明を明るくすることも重要です。
  • 夜間の介助サポート 夜間にトイレに行く前に家族や介護者が起きてBさんをサポートすることで、トイレまで安全に誘導し、間に合わないリスクを減らします。

設問3  Bさんが「誰かがいる」と幻視を見て排泄行為を中断する場合、介護スタッフはどのような対応をすべきでしょうか?レビー小体型認知症の特性を踏まえた対応を提案してください。

解答例

レビー小体型認知症では、幻視が日常的に起こることが多いため、幻視に対して否定せずに共感的な対応が必要です。以下の対応が適切です。

  • 幻視を否定しない Bさんが「誰かがいる」と感じた場合、「誰もいませんよ」と否定するのではなく、「そうですか、では一緒に確認してみましょう」と共感を示し、安心させることが大切です。その上で、手を取ってトイレに誘導し、安心感を与えながら排泄をサポートします。
  • 環境整備 トイレの照明を明るくして幻視を減らすことが有効です。暗い場所は幻視を引き起こしやすいので、明るく清潔な環境を保つことが幻視の発生頻度を下げる助けになります。

設問4  Bさんの自尊心を傷つけずに、失敗を減らすために家族はどのような支援ができるでしょうか?心理的サポートとケア方法を交えたアドバイスをしてください。

解答例

Bさんの自尊心を守りながら失敗を減らすためには、家族が尊厳を尊重しつつ適切な支援を行うことが重要です。

  • 尊厳を守る対応 失敗した場合、Bさんを責めたり指摘したりするのではなく、「大丈夫ですよ、こういうこともあります」と優しく励まし、Bさんの自尊心を守ります。また、失敗の処理はさりげなく行い、過剰に意識させないよう配慮します。
  • 前向きなコミュニケーション トイレに誘導する際には、「一緒に歩きましょう」といった前向きな言葉を使い、トイレに行くことが自然な行為であると感じてもらうよう心掛けます。
  • 家族の協力体制の強化 家族全員がBさんの尊厳を守るために一致した対応を取ることが重要です。Bさんにとって安心できる環境を作るため、家族間でケア方法や声掛けの方法を共有し、全員が一貫した態度で接することが求められます。

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