解説 排泄ケアの相談支援計画書の書式(swot→BSC)
⇒※排泄ケア相談員については、家庭の排泄ケア相談所のWEBを参照ください。 https://www.sutokukai.or.jp/cssc/about/haisetsu.html
排泄ケアの相談支援計画書の書式については、関係者が理解しやすく、実際に支援に役立つと考えています。基本的な構成要素は、以下のようなフォーマットです。
1. 基本情報セクション
- 対象者情報 氏名、年齢、性別、障害や疾患の種類、ADL(活動の自立度)などの基礎情報。
- 在宅介護者情報 家族や介護者の名前、役割、連絡先。
- 主治医や訪問看護ステーションなどの関連機関情報 支援チームとして誰が関与しているのかを明記。
2. 背景情報
- 課題の概要 排泄に関する主な課題(例:排便の頻度、トイレへの移動の困難さ、オムツ使用の必要性など)。
- 関連疾患 対象者が持つ関連する疾患やその影響(例:認知症、脳梗塞、筋力低下など)。
- 生活状況の概要 日常生活の状況や家族の支援体制についての簡単な説明。
3. アセスメント
- 現状分析 SWOT分析で対象者の強み、弱み、機会、脅威を評価。
- Strengths 対象者や環境の強み(例:介護者がしっかりした支援体制を持っている)。
- Weaknesses 対象者や介護環境の弱み(例:トイレまでの動線が長い、夜間の排泄が頻繁)。
- Opportunities 活用できる支援資源や制度(例:デイサービス、リハビリ)。
- Threats 介護上のリスク(例:感染リスク、認知症の進行)。
4. 目標設定
- 短期目標(3か月以内)
- 具体例 排泄回数を記録し、介護者と共有することで夜間のトイレ誘導を減らす。
- 達成指標(KPI) 排泄回数の記録頻度、夜間の介護負担軽減の確認。
- 長期目標(6か月~1年以内)
- 具体例: トイレ移動の自立度を高め、オムツ使用を減少させる。
- 達成指標(KPI) トイレでの自立した排泄の割合、オムツの使用頻度の減少。
5. 支援計画
- 具体的な介入内容 継続的なモニタリングや訪問介護のスケジュール。
- 介護方法の提案 例えば、トイレ誘導の方法や福祉用具の活用方法(ポータブルトイレ、移乗支援機器など)。
- 社会資源の活用 デイサービス、リハビリ施設、訪問介護サービスの利用計画。
- 介護者への教育・サポート 排泄ケアに関するトレーニングや心理的サポートの提供。
6. 進捗確認・評価(BSCとKPI)
- Balanced Scorecard (BSC) 排泄ケアに関連する4つの視点での評価を行います。
- 財務の視点 福祉用具や介護サービスのコスト管理。
- 顧客の視点 対象者および家族の満足度と生活の質の改善。
- 業務プロセスの視点 ケアプロセスの改善(例:トイレ誘導の頻度やケアの時間)。
- 学習と成長の視点 介護者やチームメンバーのスキル向上、介護の質の向上。
- KPIの追跡 上記の短期・長期目標に対する定期的なモニタリングを行い、進捗状況を確認する。具体的な数値(例:夜間排泄回数の50%削減)を設定。
7. 定期的な評価とフィードバック
- 定期レビュー 1か月ごと、または3か月ごとの定期的な評価と計画の見直しを行う。
- 介護者や対象者との協議 目標の達成状況を共有し、必要に応じて計画の調整を行う。
書式のメリット・デメリット
- メリット
- 構造化されたフォーマット 一貫性を持って支援計画を管理できる。
- モニタリングのしやすさ BSCやKPIを使うことで進捗状況を数値化し、介護の改善点が明確になる。
- チーム間の連携強化 関係者が一目で理解できるため、ケアチームの連携がスムーズになる。
- デメリット
- 複雑なフォーマット 書式が複雑すぎると、実際の現場では煩雑になり、十分に活用できない可能性がある。
- 柔軟性の欠如 目標が固定的になり、急な状況変化に対応しづらくなることがある。